1.科学技術振興機構(JST)は10月25日、第8回「輝く女性研究者賞(ジュンアシダ賞)」の受賞者を発表した。
2.東京大学の高木里奈准教授、高木悠花准教授、女性研究者の活躍を支える岡山大学が選ばれた。
3.優れた研究成果と研究機関の環境整備の両方を評価する制度から、研究分野における男女共同参画を考える。
-氏-768x1024.png)
研究者2人と岡山大学を表彰
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)は2026年10月25日、第8回「輝く女性研究者賞(ジュンアシダ賞)」の受賞者を発表した。輝く女性研究者賞には東京大学物性研究所の高木里奈准教授、輝く女性研究者活躍推進賞には国立大学法人岡山大学、科学技術振興機構理事長賞には東京大学大気海洋研究所の高木悠花准教授が選ばれた。東京都江東区の東京国際交流館プラザ平成で表彰式が開催され、高木里奈氏には副賞として100万円が贈られた。
この賞は、優れた研究に取り組む女性研究者だけでなく、女性研究者が能力を発揮できる環境づくりを進める機関も対象としている。個人の研究成果と組織の取組を別々の部門で評価する点が特徴となっている。
高木里奈准教授の研究とは
高木里奈氏の専門は物性物理学、磁性、強相関電子系である。物性物理学とは、物質が電気や磁気、熱などに対してどのような性質を示すのかを、原子や電子の働きから研究する分野を指す。
高木氏が研究するのは、物質内の電子による小さな磁石が反対向きに並び、全体としては磁石の性質がほとんど現れない物質である。従来の磁気記録では、記録部分を高密度に配置すると、磁石同士の干渉が課題となる。高木氏らは硫化鉄を用いた研究で、室温において情報の保持や書換えを行い、その状態を電気的に読み出せることを示した。
この研究は、将来の高密度で高速なメモリー技術につながる可能性がある。身近な記憶装置の性能向上という課題に、物質の基礎的な性質から取り組んでいる点が特徴だ。
高木悠花准教授は海洋生物の共生を研究
科学技術振興機構理事長賞を受けた高木悠花氏は、海洋生物学、微古生物学、進化生態学を専門とする。
研究対象の一つは「浮遊性有孔虫」と呼ばれる小さな単細胞生物である。有孔虫の中には、体内に微細な藻類を共生させ、藻類の光合成によって生じる栄養を利用する種類がある。
このように、異なる生物が共に生活する関係を「共生」と呼び、とりわけ光合成を行う生物との関係を「光共生」という。高木氏は海洋調査、飼育実験、遺伝子解析などを通じて、光共生の成立と進化を調べてきた。
研究成果は、海洋生態系が水温上昇などの環境変化にどのように応答するのかを理解する手掛かりにもなる。
岡山大学への表彰が示す組織の役割
女性研究者活躍推進賞には岡山大学が選ばれた。この部門は、女性研究者の活動を支える機関そのものを評価する制度であり、研究者個人への表彰とは異なる。
JSTは2019年度、女性研究者の活躍を推進するために「輝く女性研究者賞」と「輝く女性研究者活躍推進賞」を創設した。大学や公的研究機関のほか、企業の研究開発部門の研究者も対象となり、推進賞では教育機関、学協会、NPOなど幅広い組織が応募できる。
女性研究者をめぐる課題は、研究能力の有無だけで説明できるものではない。採用、研究費の獲得、研究継続、管理職への登用、育児や介護との両立など、研究者としての職業生活には複数の段階がある。
男女共同参画社会基本法は、性別にかかわらず社会のあらゆる分野に参画する機会を確保し、個人の能力を発揮できる社会を目指す法律である。研究機関における男女共同参画も、この理念と関係している。
研究の多様性と次世代への接点
女性研究者の表彰には、優れた研究成果を社会に紹介し、若い世代が研究という進路を知る機会を広げる側面もある。
今回の受賞者が取り組む物性物理学と海洋生物学は、研究対象も方法も大きく異なる。両者を同じ賞で紹介することは、科学技術の世界に多様な専門分野と研究の進め方があることを示している。
JSTは、輝く女性研究者賞と「羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)」の歴代受賞者を紹介するインタビューページも開設した。研究に関心を持つ学生や若手研究者が、研究内容と研究者としての歩みを知る資料として利用できる。
今回の表彰は、東京大学の高木里奈氏と高木悠花氏の研究成果、岡山大学の女性研究者活躍推進に関する取組を、それぞれ異なる部門から紹介するものとなった。
科学技術振興機構「第8回輝く女性研究者賞(ジュンアシダ賞)受賞者の決定」
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000164722.html
科学技術振興機構「ダイバーシティの取組」
URL:https://www.jst.go.jp/diversity/index.html
男女共同参画社会基本法
URL:https://jinken-news.com/glossary/danjo-kyodo-sankaku-shakai-kihon-hou/
アンコンシャス・バイアス
URL:https://jinken-news.com/glossary/unconscious-bias/

からEX精神障害者割引スタート.jpg)