IMADR、スリランカ女性自立支援を報告 農業・養鶏・ごま油づくりで

この記事のポイント

1.反差別国際運動(IMADR)とIMADRアジア委員会は、スリランカ女性への自立応援プロジェクトの報告を公表した。
2.事業は2025年12月から2026年5月まで、スリランカ北部ジャフナと南部ウィーラケティヤで実施された。
3.女性130名への作物栽培支援のほか、養鶏、ごま油づくりを通じた生計支援が行われた。

スリランカ女性への自立応援プロジェクト

反差別国際運動(IMADR)とIMADRアジア委員会は2026年6月30日、「スリランカ女性への自立応援プロジェクト」の実施報告を公表した。両団体は、内戦以降も厳しい生活実態にあるスリランカ北部・南部のマイノリティ女性の自立を支援するため、2025年10月にクラウドファンディングで日本からの寄付を呼びかけた。集まった寄付をもとに、現地NGOとの協働で事業を開始した。

事業期間は2025年12月から2026年5月までの6か月間。実施地域は、スリランカ北部のジャフナと南部のウィーラケティヤである。IMADRの報告では、2020年のコロナ禍と経済危機により物価が2倍以上に上がり、食事の回数を減らすなど、住民が厳しい日々を送っていると説明している。支援内容は、作物の栽培、養鶏、ごま油づくりの3分野に分けられた。

作物栽培では、女性世帯主の家庭、高齢者、低所得者世帯の女性計130名に対し、野菜の苗、種子、栽培資材、栽培袋を提供した。土壌づくり、種まき、苗の管理、有機堆肥の作り方、節水、害虫対策に関する実地研修も行った。気候変動の影響に対応するため、排水対策、マルチング、地域環境に適した作物選定に関する研修も含めている。参加者は、裏庭や空き地、袋栽培を活用し、なす、唐辛子、オクラ、葉物野菜、薬用植物、果樹など10種類以上の作物を栽培した。

報告によると、作物栽培の参加者の90%以上が、収穫した野菜を定期的に消費し、食事の多様性が増した。市場で食料を購入する回数が減り、毎月の食費が30%から40%減少した参加者も多いという。余った収穫物を地域内で分け合ったり販売したりする例も生まれ、栄養改善と小規模な収入機会の双方につながった。

養鶏では、ジャフナで、強制失踪により夫を失い、安定収入がない女性1名を対象に、20羽のひなと鶏小屋づくりの資材を提供した。給餌器、給水器の設置、小屋づくり、衛生管理、病気の予防、作業記録に関する技術支援も行っている。卵を日々の食事に取り入れることでタンパク質摂取を増やし、地元コミュニティ内で卵を販売する副収入にもつなげた。

ごま油づくりでは、ジャフナで既に小規模事業に取り組んでいた女性起業家1名を支援した。対象者は、若くして夫を亡くし、ごま油づくりを始めたものの、生産コストの高騰、良質な原材料の入手難、設備不足、市場アクセスの制約に直面していた。事業では、ごまの種の提供、搾油機の整備、栽培・収穫・加工の技術支援、パッケージ改善や販売戦略に関するマーケティング研修を行った。

人権上の論点は、紛争後の地域で、女性が単なる支援対象ではなく、生計を立て、意思決定し、地域経済に参加する主体として扱われている点にある。女性世帯主、強制失踪で夫を失った女性、低所得世帯の女性は、貧困、ジェンダー、民族的・社会的少数性が重なりやすい。作物栽培、養鶏、ごま油づくりはいずれも小規模な取組だが、食料、収入、技術、地域内での役割を結び直す手段になる。IMADRとIMADRアジア委員会は、ジャフナとウィーラケティヤでの6か月の実施結果を、スリランカ各地の不利な立場にあるコミュニティへの継続的な協働の記録として公表した。

出典

反差別国際運動(IMADR)「報告:スリランカ女性への自立応援プロジェクト」
URL:https://imadr.net/lkaproject2026/

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

人権ニュース編集部をフォローする
国際
シェアする
タイトルとURLをコピーしました