大阪府教委、府立高校教諭を戒告 クラブで大声叱責

この記事のポイント

1.大阪府教育委員会は6月30日、府立高等学校の56歳教諭を戒告処分にした。
2.教諭はクラブのミーティングで、マネージャーを他の部員らの前で大声で叱責した。
3.当該マネージャーは精神的苦痛を感じ、学校を欠席する等したとされる。

懲戒処分のイメージ図

大阪府教育委員会は2026年6月30日、府立高等学校に勤務する56歳の教諭を戒告の懲戒処分にした。処分理由は、顧問を務めるクラブのミーティングにおいて、マネージャーに対し、他の部員らの前で大声で叱責したことにある。大阪府教委は同日、教職員2件の処分を公表しており、本稿では事案(2)の叱責事案を扱う。

大阪府教委の発表によると、当該マネージャーには、ミーティング中の私語や書類の未提出があった。教諭はその場で大声で叱責し、その後の指導でも感情的になり、再び大声で叱責した。府教委は、教諭の言動を受けて当該マネージャーが精神的苦痛を感じ、学校を欠席する等したと説明している。管理監督責任として、校長64歳には訓告が行われた。

この事案は、身体的な体罰ではなく、指導場面における威圧的・感情的な言動の問題として読まれる。文部科学省の『生徒指導提要』は、不適切な指導と考えられ得る例として、「大声で怒鳴る、ものを叩く・投げる等の威圧的、感情的な言動で指導する」ことや、「殊更に児童生徒の面前で叱責する」ことを挙げている。懲戒としての叱責そのものが直ちに否定されるのではない。問題は、指導の目的、場所、態様、児童生徒の受け止め、指導後のフォローを欠いた場合に、学校生活への参加を損なう結果につながる点にある。

人権上の論点は、部活動やクラブ活動における上下関係の中で、生徒が反論や相談をしにくい構造にある。マネージャーは、選手や他の部員とは異なる役割を担う場合があり、顧問からの評価や集団内の立場に影響を受けやすい。多数の部員の前で大声で叱責されれば、注意を受けた事実だけでなく、集団内での尊厳や心理的安全にも影響が及ぶ。今回の大阪府教委の処分は、叱責が身体への侵害を伴わなくても、精神的苦痛や欠席という結果を生じ得ることを示す事例といえる。

大阪府教委の資料は、クラブの種類、叱責が行われた時期、学校側の再発防止策までは示していない。そのため、処分の軽重を外部から断定することはできない。ただし、校長への訓告も併せて行われた以上、大阪府教育庁教職員室教職員人事課が公表した今回の事案は、当該教諭個人の言動だけでなく、府立高等学校におけるクラブ指導の点検対象として扱われる必要がある。

出典

大阪府「教職員の処分について」
URL:https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/fumin/o180110/prs_51137.html

文部科学省「生徒指導提要(改訂版)」
URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1404008_00001.htm

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

人権ニュース編集部をフォローする
教育
シェアする
タイトルとURLをコピーしました