外国ルーツの子どもと人種差別を考える シーライツが若者主体の学習会

スポンサーリンク
スポンサーリンク
この記事のポイント

1.シーライツは10月17日、外国ルーツの子どもと人種差別撤廃条約をテーマとした学習会を開催した。
2.高校生・大学生のメンバーが、教育を受ける権利、在留資格、継承語教育、差別禁止法などを学んだ。
3.「NOヘイト Yes共生」動画プロジェクトを通じて、外国ルーツの子どもや若者、支援者の声を社会に発信する。

【報告】「NOヘイト Yes共生」動画プロジェクト学習会を開催

外国ルーツの子どもと差別禁止法を学ぶ

子どもの権利の保障に取り組むシーライツは2026年10月17日、「外国ルーツの子どもたちと人種差別撤廃条約―差別禁止法がなぜ必要か」をテーマとする学習会を開催した。講師には佐藤信行氏を迎え、高校生や大学生のユースメンバーが、外国にルーツを持つ子どもの教育や生活、差別を防止するための法制度について学んだ。

学習会は、シーライツが実施する「No ヘイト/Yes 共生~みんなでつくる海外ルーツ&アライ動画プロジェクト」の活動の一つとして開催された。同事業は公益財団法人パブリックリソース財団の「Y’sファンド D&I基金」の助成を受けている。

プロジェクトでは、ユースメンバーが中心となり、週1回のオンラインミーティングと月1回の対面ミーティングを行いながら、外国ルーツの子どもや若者の声を伝える動画制作を進めている。

外国ルーツの子どもとは

外国ルーツの子どもとは、本人または保護者が外国にルーツを持つ子どもを指す。外国籍の子どもだけでなく、日本国籍を持つ子どもや、日本で生まれ育った子どもも含まれる。

そのため、外国ルーツの子どもを、日本語を十分に話せない子どもと同一視することはできない。家庭で複数の言語を使用する子どももいれば、日本語を主な使用言語として生活している子どももいる。

今回の学習会では、外国にルーツを持つ人々の多様な背景や暮らしに加え、教育を受ける権利、在留資格、ヘイトスピーチ、差別の問題などが取り上げられた。

なかでも、子ども自身は日本で生まれ育ち、学校に通っていても、保護者の在留資格などによって学習の継続や家族との生活に影響が生じる場合があることが紹介された。

在留資格と教育を受ける権利

在留資格とは、外国人が日本に在留する際に、その活動内容や身分、地位などに応じて認められる法的な資格である。

在留資格の種類や更新の状況によって、日本で生活できる期間や認められる活動などが異なる。

子どもの生活を考える際には、学校で学ぶ権利と、日本に在留するための法的な条件を区別して理解する必要がある。

子どもの権利条約第28条は、子どもの教育を受ける権利を定めている。一方、在留資格に関する制度は、出入国管理及び難民認定法などに基づいて運用される。

教育を受けている子どもが家族の在留状況に影響を受ける場合、学校生活や友人関係、将来の進路などにも関係する可能性がある。今回の学習会は、こうした複数の制度が子どもの生活に与える影響について考える機会となった。

継承語教育とアイデンティティ

学習会では、日本語の習得だけでなく、家庭で受け継がれてきた言語や文化を大切にする「継承語教育」についても学んだ。

継承語とは、家庭や家族の文化的背景を通じて受け継がれてきた言語を指す。

外国ルーツの子どもにとって、日本語を学ぶことは学校生活や進学、地域での生活に役立つ。一方、家族が使用する言語を理解することも、家庭内のコミュニケーションや自分のルーツを理解することにつながる。

日本語の習得と継承語の学習は、どちらか一方を選ぶものとは限らない。

参加した大学生からも、継承語とアイデンティティ、自尊心との関係について考えたという感想が寄せられている。複数の言語や文化を持つことを、子どもの持つ資源として捉える考え方が共有された。

人種差別撤廃条約と日本の法制度

学習会では、人種差別撤廃条約と日本における差別禁止法制についても議論された。

人種差別撤廃条約は、1965年に国連総会で採択され、1969年に発効した国際条約である。日本は1995年に加入した。

条約が対象とする人種差別には、人種や皮膚の色だけでなく、世系、民族的または種族的出身に基づく差別も含まれる。

日本では2016年に「ヘイトスピーチ解消法」が施行された。同法は、一定の要件を満たす本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消を目的とし、国や地方公共団体が相談、教育、啓発などを進めることを定めている。

ただし、ヘイトスピーチ解消法は、あらゆる差別的行為を包括的に禁止し、違反した場合に刑罰を科す法律ではない。

差別的な言動と、雇用、住宅、教育などにおける不利益な取扱いは、制度上区別して考える必要がある。

佐藤氏の講義では、こうした国際人権基準と日本の制度を踏まえ、差別禁止法や人権救済制度の必要性について説明が行われた。

子どもを意見を持つ主体として尊重する

今回のプロジェクトでは、外国ルーツの子どもや若者を、援助を受ける存在としてだけでなく、自ら意見を持ち、社会に発信する主体として扱っている。

子どもの権利条約第12条は、子どもが自分に影響する事柄について自由に意見を表明する権利を定めている。

子どもや若者自身が経験や考えを伝えることは、支援者が当事者の状況を説明することとは異なる役割を持つ。

また、今回のプロジェクト名にあるアライとは、差別や不利益を受ける当事者を理解し、連帯する人を指す。

動画を通じて外国ルーツの若者とアライが共にメッセージを発信することは、差別の問題を当事者だけの問題とせず、様々な人が参加できる活動として広げる方法でもある。

10月31日まで動画メッセージを募集

シーライツは、差別への反対と共生への賛同を伝える1分間の動画メッセージを募集している。応募期限は10月31日まで延長された。

動画プロジェクトでは、外国ルーツの子どもや若者の声だけでなく、支援する人々の意見も集めながら、差別のない地域社会について考えるメッセージを発信する。

今回の学習会で共有された在留資格、継承語教育、人種差別撤廃条約などの知識は、そうした動画制作の基礎となる。

シーライツは、ユースメンバーによる学習や意見交換を続けながら、外国ルーツの子どもや若者が自らの権利について考え、社会に向けて発信する活動を進めている。

出典

シーライツ「NOヘイト Yes共生 動画プロジェクト学習会を開催しました」
URL:https://c-rights.org/kyopro_gakushukai_261017/

スポンサーリンク
スポンサーリンク
人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、裁判所、企業、公益団体、国際機関などが公表する一次情報を確認し、差別、子ども、障害者、高齢者、教育、福祉、司法・制度、外国人、ビジネスと人権などに関するニュース、制度解説、独自調査を発信しています。記事では出典を明示し、事実関係を確認したうえで、関連する法制度や統計、過去の経緯などを参照しながら、人権上の論点や社会的背景を整理しています。

人権ニュース編集部をフォローする
国際教育日本
シェアする
タイトルとURLをコピーしました