1.兵庫県のこども家庭センターが2025年度に対応した児童虐待相談は6251件で、前年度より580件、10.2%増え過去最多となった。
2.警察からの相談は4268件で全体の68.3%を占め、前年度から549件増加した。
3.全国では2024年度の児童虐待相談対応件数が前年度比0.8%減少しており、兵庫県の増加は全国動向と異なる。県は警察とのリアルタイム情報共有などが件数増加の一因と説明している。

兵庫県は2026年9月10日、県児童相談所(こども家庭センター)が2025年度に対応した児童虐待相談が6251件に上ったと公表した。2024年度の5671件から580件、10.2%増え、過去最多となった。相談経路では警察からが4268件で68.3%を占め、前年度の3719件から549件、14.8%増加している。
「件数増=虐待そのものの増加」とは限らない
相談対応件数の増加を、そのまま虐待発生件数の増加と読むことには注意が必要である。兵庫県は2024年10月から、児童虐待事案について警察とのリアルタイム共有システムを導入した。保護者間のトラブルなどで警察が出動した際、子どもの安全確保のために児童相談所へ通告するケースもあり、県は警察との連携強化を相談件数増加の一因として挙げる。
全国の傾向とは違いもある。こども家庭庁によると、全国236か所の児童相談所が2024年度に対応した児童虐待相談は22万3691件で、前年度から1818件、0.8%減った。相談経路では全国でも警察等からが最多で11万5644件、51.7%を占める。兵庫県の68.3%はこれを大きく上回り、警察との情報連携が県内の相談把握に強く影響していることが分かる。
通告後に問われる安全確認と家庭支援
児童虐待は身体的虐待だけではない。性的虐待、ネグレクト、心理的虐待も法律上の対象で、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV」は心理的虐待として扱われる。警察が家庭内トラブルへ対応した際の通告が多い背景には、こうした制度上の定義も関係している。
相談を多く把握できることは早期介入の入口になるが、件数を把握しただけでは子どもの安全は確保されない。児童相談所、市町村、学校、警察、医療機関などが、緊急性を判断し、一時保護や在宅支援などにつなげる必要がある。兵庫県の6251件についても、相談受理後の安全確認までの時間、継続支援、一時保護、再通告などを併せて確認することで、相談件数の増加が実際の保護・支援強化につながったかを検証できる。
兵庫県「令和7年度県児童相談所(こども家庭センター)の児童虐待相談の状況」
URL: https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf12/press/20260909.html
こども家庭庁「令和6年度児童虐待相談対応件数」
URL: https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a176de99-390e-4065-a7fb-fe569ab2450c/844e601a/20260130_policies_jidougyakutai_45.pdf
