1.滋賀県が9月1~30日を「同和問題啓発強調月間」とし、県、市町、教育委員会などが啓発を行う
2.月間は1985年度から40年以上続くが、2021年度調査では74.5%が「部落差別はいまだにある」と回答した
3.部落差別解消推進法は情報化による差別状況の変化を明記しており、従来型啓発とインターネット上の問題を同時に扱う必要がある

滋賀県は9月1日から30日までを「同和問題啓発強調月間」とし、県教育委員会、市町、市町教育委員会などと啓発活動を行う。滋賀県が9月を強調月間としたのは1985年度で、2026年度まで40年以上続く。街頭啓発やポスター掲示などを通じて同和問題に関する理解を広げる施策で、単年度のキャンペーンではなく、県の人権啓発施策の中でも長期間継続している事業の一つである。
長く続いていることと、問題が解消されたことは同じではない。滋賀県が2021年度に実施した「人権に関する県民意識調査」では、「部落差別はいまだにある」と答えた人が74.5%、「もはや存在しない」が22.9%だった。調査対象は3,000人、有効回答は1,560人、回答率52.0%。差別がなくならない理由としては「昔からある偏見や差別意識」が70.8%、「同和問題について正しい知識がない」が52.4%、「地域や家庭で偏見や差別意識が伝えられている」が42.2%だった。
情報環境の変化も調査に表れている。「落書きやインターネット上で差別を助長する情報が流されている」と答えた人は17.1%だった。2016年に施行された部落差別解消推進法も、第1条で情報化の進展に伴って部落差別の状況が変化していることを明記している。法務省の実態調査では、インターネット上で特定の地域を同和地区であると示したり、差別を助長したりする情報が問題として扱われており、自治体が1980年代に始めた啓発と現在の課題は完全には同じではない。
ここから、40年以上続く強調月間を「毎年実施しているから効果がある」「差別が残っているから効果がない」のどちらかで判断するのも適切ではないことが分かる。街頭や公共施設で啓発に接する人と、検索やSNSを通じて同和地区に関する情報を見る人では接触する情報が異なる。2021年度調査でも、従来からの偏見、知識不足、家庭や地域での伝達、インターネット上の情報が別々の要因として回答されている。施策を検討する際にも、これらを一つの原因として処理しないことが必要になる。
2026年度の強調月間は、滋賀県、県教育委員会、市町、市町教育委員会が連携して実施する。1985年度から続く街頭啓発などの蓄積に、2016年の部落差別解消推進法とインターネット上の差別という新しい条件をどう組み合わせるかが、現在の同和問題啓発を理解するための具体的な論点となる。
滋賀県「9月は同和問題啓発強調月間です」
URL:https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/oshirase/352062.html
滋賀県「人権に関する県民意識調査」
URL:https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kurashi/zinken/323774.html
滋賀県「令和3年度 人権に関する県民意識調査」
URL:https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5304771.pdf
部落差別解消推進法
URL:https://jinken-news.com/glossary/buraku-sabetsu-kaisho-suishin-hou/
インターネット上の部落差別
URL:https://jinken-news.com/glossary/internet-buraku-sabetsu/

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