1.世界人権問題研究センターが、2025年度の調査研究や啓発事業をまとめた年報を公開した。
2.インターネット、地域、子ども、性的マイノリティ、ビジネスと人権を5つの研究課題とした。
3.人権大学講座では、気候変動、SOGI、部落差別、ヘイトスピーチ、ハンセン病などを扱った。

公益財団法人世界人権問題研究センターは2026年7月22日、「2025年度世界人権問題研究センター年報」をウェブサイトに掲載した。同センターの年報は、毎年4月から翌年3月末までの事業と活動をまとめる資料で、1995年6月に1994年度版を刊行して以降、毎年度発行している。今回の年報は、2025年4月から2026年3月までに進めた共同研究、研究成果の刊行、市民向け講座などを記録した。
センターの共同研究は、5つのプロジェクトチームを軸とする。「インターネットと人権・情報空間に関する憲法問題」「共に生きる地域研究の可能性」「子どもの人権」「性的マイノリティと人権」「ビジネスと人権」で、デジタル空間の権利侵害から京都の地域史、こども基本法、家族・教育と性の多様性、企業活動までを横断する。このほか、国際的人権保障、部落問題政策、在日コリアン、ジェンダー平等、移住者などを扱う6つの登録チームが研究を進めている。
研究成果を市民に伝える「人権大学講座」は、2025年6月24日のシンポジウム「気候変動と人権」と第2回安藤仁介賞授賞式で開講した。その後、学校組織と子どもの権利、性別変更と夫婦別姓、全国SOGI調査、日本企業のアジア進出、東九条の歴史、同和問題と隣保行政、ヘイトスピーチ、ハンセン病問題などを取り上げ、2026年2月6日まで続いた。予定された14日程のうち、8月20日の講座は中止となり、13日程が実施された。講義だけでなく、京都市地域・多文化交流ネットワークセンターを会場とするフィールドワークも組み込んだ。
2025年5月発行の「研究紀要」第30号には、ハンセン病強制隔離と地方公共団体の「無らい県運動」、SNS事業者のコンテンツモデレーション、性的マイノリティと宗教、朝鮮人連盟・在日本朝鮮民主青年同盟の財産接収措置を扱う4本の研究論文を収録した。京都文化博物館の歴史展示を用いた人権教育教材の開発に関する研究ノートも掲載し、制度、歴史、教育を異なる方法で検証している。
学術研究は、差別事案の調査や被害者への救済を直接担う制度ではない。しかし、どのような言動や制度が権利侵害を生み、過去の政策が現在の偏見にどう結び付いているかを資料と理論によって示す作業は、行政施策や教育内容を検討する基礎となる。研究成果を紀要だけにとどめず、人権大学講座、季刊誌「GLOBE」、フィールドワークへ展開する点に、世界人権問題研究センターの活動の特徴がある。2025年度年報は、5つのプロジェクトチームの研究と13日程の人権大学講座を一つの年度記録として確認できる資料となった。
公益財団法人世界人権問題研究センター「2025年度世界人権問題研究センター年報」
URL:https://khrri.or.jp/publication/docs/2025_annualreport_%282755KB%29.pdf
公益財団法人世界人権問題研究センター「調査・研究」
URL:https://khrri.or.jp/research/
公益財団法人世界人権問題研究センター「人権大学講座2025年度」
URL:https://khrri.or.jp/publiclecture/univ/2025/schedule.html
公益財団法人世界人権問題研究センター「研究紀要 第30号」
URL:https://khrri.or.jp/publication/bulletin/_3020255.html
