難病・慢性症状の就労支援へ「RDログ」公開

この記事のポイント

1.NPO法人両育わーるどが、難病や慢性症状のある人向けの記録・可視化アプリ「RDログ」を公開した。
2.無料トライアル期間は2026年9月30日までで、体調、症状、疲労感、ストレス要因、業務負荷などを記録できる。
3.就労と体調管理を本人任せにせず、職場との対話や合理的配慮につなげる仕組みとしての活用が論点となる。

NPO法人両育わーるどの「RDログ」

NPO法人両育わーるどは2026年7月1日、難病や慢性症状、不定愁訴とともに生活する人を対象にした記録・可視化アプリ「RDログ」を公開し、無料トライアルを開始した。無料トライアル期間は9月30日まで。団体は東京都渋谷区に所在し、理事長は重光喬之さん。難病者の社会参加推進、RDワーカーに関する啓発・研究・対話促進などに取り組んでいる。

RDログは、日々の体調、症状、疲労感、ストレス要因、業務負荷などを、利用者の症状や生活スタイルに合わせて記録できるツールである。記録した内容はデータとして可視化され、体調の変化や、その背景にある要因、働き方との関係を振り返ることができる。AIを活用し、記録データの分析結果を受け取れることも特徴としている。

両育わーるどは、難病とともに働いている人、働こうとしている人を「RDワーカー(Rare Disease Worker)」と呼び、働くことと体調管理を切り離さずに捉える考え方を示している。慢性的な症状や体調の波がある場合、本人が「どの業務が続くと疲れやすいのか」「休憩を取ると回復しやすいのか」「睡眠不足やストレスが症状に影響しているのか」を説明しにくい場面がある。記録の蓄積は、本人のセルフマネジメントだけでなく、職場と働き方を話し合う材料にもなる。

人権上の論点は、病気や症状を抱える人の就労継続を、本人の努力だけに委ねない点にある。難病や慢性症状は、外見から状態が分かりにくいことがある。体調が日によって変動する場合、同じ勤務時間や同じ業務量でも負担が大きく異なることがある。職場がその変動を把握できなければ、配慮の必要性が見過ごされる。逆に、本人が自分の状態を説明する資料を持てれば、勤務時間、休憩、業務配分、在宅勤務、通院への対応などについて、具体的な調整をしやすくなる。

ただし、記録アプリは職場の配慮を自動的に実現するものではない。体調データは個人の健康情報に関わるため、誰に、どの範囲で、どの目的で共有するかを本人が選べることが前提になる。職場側が記録を提出させる形になれば、支援のための情報が管理や評価の材料に転化するおそれもある。RDログのようなツールを就労支援に用いる場合、本人の同意、利用目的の明確化、必要最小限の共有が欠かせない。

福祉と雇用の接点では、制度上の支援と日常の職場運営をつなぐ仕組みが課題となる。診断名や障害者手帳の有無だけでは、働く場面で何に困っているのかを十分に説明できない場合がある。体調、疲労、業務負荷、ストレス要因を時系列で記録することは、医療・福祉・職場の間で認識を合わせる手がかりになる。両育わーるどは、RDログを通じて、難病や慢性症状のある人が自分の体調と働き方の関係を振り返り、周囲と無理のない働き方を考えるための支援を進める。

出典
人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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