栃木県、カスハラ防止へ無料相談窓口と専門家派遣

この記事のポイント

1.栃木県は6月12日から、カスタマーハラスメント防止対策に関する事業者向け相談窓口を開設する。
2.社会保険労務士や中小企業診断士などを派遣するアドバイザー派遣も、15社・団体程度を対象に始める。
3.背景には、2026年4月1日に施行された栃木県カスタマーハラスメント防止条例がある。

栃木県のカスタマーハラスメント防止対策に向けた相談窓口の開設及びアドバイザー派遣ンショット (75)

栃木県産業労働観光部労働政策課は2026年6月11日、カスタマーハラスメント防止対策に向けた相談窓口の開設と、アドバイザー派遣の開始を発表した。受付開始はいずれも6月12日。対象は、栃木県内に事業所を有する事業者と業界団体で、相談窓口、アドバイザー派遣とも利用料は無料とされている。

相談窓口では、カスタマーハラスメント対策や労務管理に精通した相談員が、事業者からの相談に対応する。相談方法は電話またはWEBフォーム。電話は平日午前9時から午後5時まで、WEBフォームは全日24時間受け付ける。相談例として、県の案内チラシは「何から始めればよいかわからない」「顧客からカスハラを受けているが、どう対応すればよいかわからない」「正当な要求とカスハラの境界線を知りたい」「従業員教育をどう進めればよいかわからない」といった内容を挙げている。

アドバイザー派遣は、対応マニュアルの策定などを支援する制度である。社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家を、訪問またはオンラインで派遣する。募集事業者・団体数は15社・団体程度で、派遣回数は1社・団体あたり5回以内。支援内容には、カスタマーハラスメントに対する基本方針の策定、発生時の対応を定めたマニュアルの策定、事業者向け教育の企画・実施などが含まれる。

今回の支援策の制度的な背景には、2026年4月1日に施行された「栃木県カスタマーハラスメント防止条例」がある。同条例は、カスタマーハラスメントを、顧客等の言動であって、業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超え、就業者の就業環境を害するものと定義している。条例は、県、顧客等、就業者、事業者の責務を明らかにし、就業者の安全と健康の確保、事業者の安定的な事業継続を目的に掲げる。

人権上の論点は、働く人の人格・尊厳の保護と、顧客側の正当な権利との調整にある。条例の基本理念は、カスタマーハラスメントを就業者の人格または尊厳を害する行為と捉える一方、防止策の実施にあたり、顧客等の正当な権利が侵害されないよう配慮することも明記している。苦情や改善要求を一律に排除するのではなく、暴言、威迫、過度な要求、長時間拘束など、就業環境を害する行為を組織として見極める体制が必要になる。

中小事業者では、現場の従業員が顧客対応を個人で抱え込みやすい。対応方針やエスカレーションの手順が曖昧なままでは、従業員の心身の負担が増し、離職や休職につながるおそれがある。栃木県のアドバイザー派遣は、基本方針、対応マニュアル、従業員教育を一体で扱う点に実務上の意味がある。問い合わせ先は、栃木県カスタマーハラスメント防止対策支援業務事務局で、運営は株式会社TMC経営支援センターが担う。

出典

栃木県「カスタマーハラスメント防止対策に向けた相談窓口の開設及びアドバイザー派遣の開始について」
URL:https://www.pref.tochigi.lg.jp/f06/houdou/houdou/cus-hara_shienn.html

栃木県「カスタマーハラスメント防止対策」
URL:https://www.pref.tochigi.lg.jp/f06/work/fukushi/customerharassment.html

栃木県「カスタマーハラスメント防止対策支援の御案内」
URL:https://www.pref.tochigi.lg.jp/f06/houdou/houdou/documents/20260609133857.pdf

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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