江東区がカスハラ防止方針策定 退去命令や法的措置も明記

この記事のポイント

1.江東区は「江東区職員に対するカスタマーハラスメント防止対策基本方針」を策定した。
2.区民等から職員への著しい迷惑行為で、職員の就業環境を害するものをカスタマーハラスメントと定義した。
3.該当事案では対応打ち切り、退去命令、警察・弁護士との連携、SNS投稿への法的措置などを行う場合がある。

カスタマーハラスメントのイメージ画像

江東区は2026年3月30日、「江東区職員に対するカスタマーハラスメント防止対策基本方針」を区ホームページで公表した。令和7年4月施行の「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を受け、区民等からの要望や意見に誠実に対応する姿勢を前提にしながら、職員の人格や尊厳を侵害する行為には組織として対応する方針を示した。

基本方針は、カスタマーハラスメントを「区民等から職員に対して行われる著しい迷惑行為であって、職員の就業環境を害するもの」と定義する。例示として、正当な根拠のない対応要求、合理性を欠く不当・過剰な要求、身体的な攻撃、精神的な攻撃、威圧的な言動、土下座の要求、長時間の拘束、差別的な言動、性的な言動、個人攻撃や嫌がらせ、社会通念上相当な範囲を超える対応の強要などを挙げた。

特徴は、区民等からの要望・意見そのものを問題視していない点にある。行政サービスや制度、業務への改善要求は、行政サービスの質の向上につながるものと整理した上で、不当・悪質な迷惑行為を区別している。苦情対応の抑制ではなく、正当な申出と職員への加害的言動を切り分ける設計である。

職員への対応では、カスタマーハラスメントを受けた職員のケアを最優先するとした。予防・対応マニュアルの策定、該当性の組織的判断、相談窓口の設置、メモ・録音などによる事実把握、職員研修を行う。個々の職員に判断や対応を抱え込ませず、区として記録、判断、支援を行う点が実務上の柱となる。

区民等への対応では、合理的かつ理性的な話し合いを行うことを基本としつつ、江東区がカスタマーハラスメントに該当すると判断した場合、対応を打ち切り、または退去を命じる場合があると明記した。悪質性が高いケースでは警察や弁護士等と連携して厳正に対処し、SNS等への不当な投稿には削除要請やその他の法的措置を行う場合もある。対応状況を記録するため、録画・録音を行う場合があることも示した。

人権上の論点は二つある。第一に、行政窓口で働く職員も、人格と尊厳を侵害されない労働環境を保障されるべき就業者である。第二に、区民の正当な申出や批判、相談の権利を萎縮させない運用が必要となる。江東区の基本方針は、区民等の立場に立って真摯に対応することを前提としつつ、著しい迷惑行為には毅然と対応するという線引きを採った。今後の実務では、職員課支援係を中心に、対応記録や組織判断の手順をどこまで明確に運用できるかが、方針の実効性を左右する。

出典

江東区公式ホームページ
URL:https://www.city.koto.lg.jp/052111/kasuharakihonhousin.html
取得日:2026年6月1日

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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