こども家庭庁、人工妊娠中絶一時金5件認定 旧優生保護法被害

この記事のポイント

1.こども家庭庁は5月25日、第15回人工妊娠中絶一時金認定審査部会の審査結果を公表した。
2.5月22日の部会では7件を審査し、認定5件、否認2件、保留0件だった。
3.旧優生保護法による人工妊娠中絶被害を補償対象とする制度であり、被害回復と尊厳回復の実効性が問われる。

こども家庭庁

こども家庭庁は5月25日、第15回「人工妊娠中絶一時金認定審査部会」の審査結果を公表した。5月22日に開催された同部会では、人工妊娠中絶一時金7件を審査し、認定5件、否認2件、保留0件とした。公表資料では、年齢階級別と都道府県別の内訳も示している。

認定された5件の年齢階級別内訳は、60歳代2件、70歳代2件、80歳代1件。50歳代、90歳代、100歳代はいずれも0件だった。都道府県別では、北海道、埼玉県、長野県、兵庫県、高知県が各1件となっている。資料の小見出しには「認定された2件の内訳」とあるが、表では認定5件、年齢階級別・都道府県別の合計も5件となっており、実質的には認定5件の内訳を示したものと読める。

人工妊娠中絶一時金は、旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた人を対象とする給付である。根拠法は「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律」。同法は、旧優生保護法に基づく優生手術等や人工妊娠中絶等を受けることを強いられた被害者への補償金等の支給を定め、2024年10月17日に公布、2025年1月17日に施行された。こども家庭庁は、同法の前文で国会と政府が責任を認め、謝罪していると説明している。

制度上、人工妊娠中絶一時金は、旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた本人で、生存している人を対象とする。支給額は本人200万円。補償金や優生手術等一時金とは対象や位置付けが異なり、優生手術等一時金を受給した場合には人工妊娠中絶一時金は支給されないと案内されている。請求期限は法律施行から5年で、2025年1月17日施行により、期限は2030年1月16日までとされる。

旧優生保護法をめぐる人権上の論点は、国の制度が、本人の意思や尊厳を十分に尊重しないまま、生殖に関する重大な自己決定を奪った点にある。人工妊娠中絶は、身体への侵襲だけでなく、妊娠、出産、家族形成に関する人生上の選択を断ち切る行為でもある。高齢となった被害者が申請にたどり着き、過去の事実を資料や証言によって示さなければならない点にも、制度運用上の難しさがある。

審査部会の結果公表は、個々の被害内容を明らかにするものではない。プライバシーへの配慮から、審査案件資料は非公表とされる。一方で、認定件数、否認件数、年齢階級、都道府県別の公表は、制度がどの程度利用されているかを社会が確認する手がかりになる。今回の第15回部会では7件が審査され、5件が認定された。こども家庭庁成育局母子保健課一時金審査第二係が照会先となっている。

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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