厚労省、ホームレス概数調査を公表 全国で2,481人

ホームレスに対する偏見や差別をなくそう

厚生労働省は、令和8年1月に実施した「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)」の結果を公表した。確認されたホームレス数は全国で2,481人で、前年度より110人、4.2%減少した。内訳は男性2,190人、女性192人、不明99人。ホームレスが確認された地方公共団体は198市区町村で、前年度から9市区町村減少した。都道府県別では大阪府が803人で最も多く、東京都507人、神奈川県391人が続いた。東京都23区と指定都市のホームレス数は、全国の約8割を占めている。

今回の調査は、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法と、同法に基づく基本方針を踏まえ、施策の効果を継続的に把握するため、毎年各自治体の協力により実施されている。対象は、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる人であり、市区町村による巡回での目視調査によって把握された。起居場所別では、道路が637人で最も多く、令和7年まで最多だった都市公園を上回った。構成比は道路25.7%、その他施設24.7%、都市公園23.9%、河川20.0%、駅舎5.7%となっている。

ホームレス数の減少は、巡回相談、一時生活支援、生活保護、生活困窮者自立支援制度、居住支援などの取組が一定程度進んできたことを示すものといえる。一方で、この調査は目視による概数調査であり、ネットカフェ、車中泊、知人宅、一時宿泊施設、簡易宿所などで不安定な生活を送る人の実態を十分に把握するものではない。路上で確認される人数が減少しても、住まいを失うリスクや、安定した居所を持てない人の困難が解消されたとは限らない。

人権の観点からは、ホームレス状態を「個人の問題」として捉えるのではなく、貧困、失業、疾病、障害、家族関係、孤立、保証人確保の困難、家賃負担などが重なった住まいの権利の問題として考える必要がある。特に、女性や若年層、性的マイノリティ、精神疾患や依存症を抱える人、DVや虐待から逃れている人は、路上で目立ちにくく、支援につながりにくい場合がある。概数調査の数字だけでは見えない「隠れたホームレス状態」をどう把握するかが、今後の課題となる。

自治体には、路上生活に至った後の支援だけでなく、住まいを失う前の段階で相談につながる仕組みを強化することが求められる。生活困窮者自立支援制度、生活保護制度、居住支援法人、医療・福祉機関、民間支援団体が連携し、本人の状況に応じた住居確保、就労支援、医療、見守りを継続的に行うことが重要である。今回の調査結果は、全国的な減少傾向を示す一方で、大都市部への集中と、目に見えにくい住居喪失リスクへの対応を改めて問いかけている。

出典

厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72779.html

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