障害のあるメンバー、法務省公式アニメ制作

この記事のポイント

1.就労継続支援B型事業所「Shake Hands」は、法務省近畿矯正管区の再犯防止啓発アニメを制作した。
2.作品は4月23日から法務省近畿矯正管区の公式YouTubeチャンネルで公開されている。
3.障害のある人の就労機会を、軽作業中心から創作・広報分野へ広げる実践としても読める。

再犯防止啓発アニメーション『カレンダーの続きを|再出発のその先へ』

合同会社ふくろうが運営する就労継続支援B型事業所「Shake Hands」は、法務省近畿矯正管区からの依頼を受け、再犯防止啓発アニメーション「カレンダーの続きを|再出発のその先へ」を制作した。作品は4月23日から、法務省近畿矯正管区の公式YouTubeチャンネルで公開されている。制作に参加したのは、発達障害や精神障害のあるメンバーたちで、企画、作画、編集までを担った。

作品は、再犯防止と更生保護への理解促進をテーマにしている。合同会社ふくろうによると、制作では、刑務所を鉄格子や有刺鉄線で描くような暗い表現を避け、刑務官との面談、地域の人たちとの交流、農業や職業訓練を通じて、出所後の主人公が社会になじんでいく姿を描いた。刑務所を「排除の場所」としてだけではなく、立ち直りを支える場所として伝える意図が示されている。

今回の取組には、二つの人権上の論点が重なる。一つは、障害のある人の働く権利と職業選択の幅である。就労継続支援B型は、一般就労が難しい障害のある人が、自分のペースで生産活動に取り組む福祉サービスである。プレスリリースでは、厚生労働省が公表した令和6年度の全国平均工賃が月額24,141円で、前年比6.6%増だったことにも触れている。低単価の内職や軽作業に偏りやすい現場で、アニメ制作のような創作業務を受託することは、工賃だけでなく、本人の技能や表現力を生かす仕事をどう作るかという課題に接続する。

もう一つは、再犯防止をめぐる社会復帰支援の論点である。刑務所を出た人が地域で生活を立て直すには、住まい、仕事、相談先、人間関係など複数の支えが必要になる。再犯防止の啓発を、障害のあるメンバーが制作したアニメで伝える構成は、支援される側と支援する側を固定的に分けない。社会参加の機会を得た制作者が、別の誰かの社会復帰を伝える広報物をつくる点に、今回の事例の特徴がある。

合同会社ふくろうは、滋賀県大津市に本社を置き、京都市南区の「就労継続支援B型Shake Hands・京都駅前」などを展開している。今回の法務省近畿矯正管区の公式広報物制作は、官公庁が就労継続支援B型事業所にクリエイティブ業務を依頼した事例として、障害者就労と公共広報の接点を示すものとなった。今後、自治体や企業、官公庁が、Shake Handsのような事業所にどのような業務を発注し、成果物の品質と働く人の尊厳を両立させるかが問われる。

出典

合同会社ふくろう/PR TIMES
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000075809.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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