1.政府は5月15日、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を閣議決定し、同日国会に提出した。
2.平口洋法務大臣は会見で、再審を「非常救済手段」としてより適切に機能させる法案だと説明した。
3.改正案は、検察官抗告、証拠開示、再審請求審の審理手続など、冤罪救済に関わる制度課題を扱う。

平口洋法務大臣は5月15日の閣議後記者会見で、政府が同日、再審制度を見直す「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」を閣議決定したことを説明した。内閣法制局によると、5月15日に閣議決定され、同日、国会に提出された。主管省庁は法務省。
平口大臣は改正案について、再審制度が「非常救済手段としてより適切に機能するようにするもの」と言及。「速やかに成立いただけるよう、法務省として力を尽くしていく」と述べた。再審は、確定した有罪判決について、後に判決の誤りをうかがわせる事情や証拠が示された場合に、裁判をやり直す制度である。通常の刑事裁判とは異なり、いったん確定した判決を対象にするため、請求人側の証拠へのアクセス、審理の進め方、再審開始決定に対する不服申立ての扱いが長く争点となってきた。
改正案の柱の一つは、再審開始決定に対する検察官の不服申立ての見直しである。報道によると、改正案では、検察官が即時抗告できるとの規定を本則から削除したうえで、再審開始決定が取り消されるべき十分な根拠がある場合に限り抗告できる規定を別に設ける。一般には、検察官抗告の「原則禁止」と説明される部分である。最高裁への特別抗告も厳格化し、抗告後の審理期間を1年以内とする努力義務も付則に入れたとされる。
証拠開示も大きな論点となる。内閣法制局が示す提出理由は、再審請求審における証拠の提出命令、再審開始決定に対する検察官の不服申立て、裁判官の除斥、審理を要するものを選別するための調査手続、審判手続などの規定整備を挙げている。再審請求審では、請求人側がどの証拠を確認できるかによって、確定判決の誤りを具体的に主張できるかが左右される。証拠開示のルールを法定することは、再審制度を実際に利用できる制度にするうえで中核的な課題となっている。
背景には、袴田事件をはじめとする冤罪事件を通じて明らかになった再審手続の長期化がある。袴田巌さんは、1966年の事件で逮捕・起訴され、1980年に死刑判決が確定した後、長い再審請求手続を経て、2024年9月26日に静岡地方裁判所で無罪判決を受けた。同年10月9日、検察官が上訴権を放棄し、無罪判決は確定した。東京弁護士会は、この経過を踏まえ、再審法改正の必要性を指摘している。
現行刑事訴訟法の再審関連規定について、今回のような本格的な改正は、1948年に現在の刑事訴訟法が制定されて以来初めてとされる。政府が5月15日に閣議決定した改正案は、再審開始決定後の検察官抗告、証拠開示、再審請求審の進行という制度の中核部分に手を入れる内容となった。国会審議では、例外的な不服申立ての範囲、証拠開示の実効性、再審請求審の長期化をどこまで防げるかが問われる。
法務省「法務大臣閣議後記者会見の概要」
URL:https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00719.html

