東京都、17年ぶりにエイズ等対策指針を策定

東京都は、HIV感染症・エイズ等に関する対策を計画的に推進するため、「東京都エイズ等対策指針」を策定した。都のエイズ対策に関する新たな指針の策定は17年ぶりで、HIV感染症やエイズに対する理解の促進、感染拡大の防止、HIV陽性者等への支援、性感染症の感染拡大防止を主な柱としている。近年、HIV感染症・エイズに関する医療は大きく進展しており、早期検査、継続的な治療、正しい知識の普及を組み合わせた対策が重要となっている。

新指針では、HIVの感染拡大防止に向け、いわゆる「95-95-95目標」の達成を目指すことが盛り込まれた。これは、HIV陽性であることを検査により把握し、必要な治療に継続してつながり、ウイルス量を十分に抑制するという一連の流れを高い水準で実現しようとする考え方である。HIV対策は、単に感染者数を把握するだけではなく、検査を受けやすい環境、治療へのアクセス、医療から離脱しない支援体制を整えることが求められる段階に入っている。

東京都では、HIV陽性者やエイズを発症した人の報告件数は2017年以降、減少傾向にある一方、全体に占めるエイズ発症例の割合は2025年に23.3%となり、増加傾向が指摘されている。これは、感染に気付かないまま時間が経過し、エイズ発症後に初めて診断される人が一定数いることを示す。早期発見と早期治療の観点からは、無料・匿名検査の周知、若年層や感染リスクの高い層への情報提供、性感染症と一体となった検査体制の強化が重要になる。

東京都エイズ等対策指針グラフ

人権の観点から特に重要なのは、HIV陽性者等への偏見や差別の解消である。抗HIV療法の進歩により、HIV陽性者の高齢化が進む中、医療機関や福祉施設、介護現場における受入れの在り方が課題となっている。東京都は、介護事業者を対象とした講習会などを通じ、医療・福祉現場での受入れ促進を図る方針を示している。HIVは日常生活で感染するものではなく、正しい知識に基づく対応があれば、医療・介護サービスの提供を拒む理由にはならない。

今回の指針は、感染症対策と人権保障を一体で進める必要性を改めて示すものといえる。HIV・エイズに関する偏見は、本人の受診控えや検査回避を招き、結果として早期発見を妨げる可能性がある。行政、医療機関、福祉関係者、教育機関には、感染予防の知識だけでなく、差別を生まない言葉遣い、相談しやすい窓口、プライバシー保護を徹底した支援体制を整えることが求められる。

出典

東京都「『東京都エイズ等対策指針』を策定しました」
URL:https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/04/2026042711

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