横浜市が犯罪被害者等支援条例を制定、相談窓口と支援体制を整備

横浜市は、「横浜市犯罪被害者等支援条例」に基づく支援制度を案内している。市は平成24年から犯罪被害者相談室を開設しており、犯罪被害に遭った人やその家族、遺族が抱える精神的苦痛、生活上の困難、法律問題などについて、相談と情報提供、関係機関との連絡調整を行っている。犯罪被害は、事件そのものによる被害に加え、医療、住居、仕事、学校、家族関係など生活全体に影響を及ぼすため、身近な自治体による継続的な支援体制が重要となる。

条例に基づく支援の対象は、原則として犯罪被害に遭った本人、その家族、遺族等で横浜市に住む人とされる。ただし、支援内容によって対象者や要件は異なり、市はまず犯罪被害者相談室に相談するよう呼びかけている。支援には一定の要件があり、原則として、被害届が警察に受理されるなど、被害が客観的に確認できる場合に限られる。制度の利用には申請期限があるものもあり、被害直後の混乱期に必要な情報へたどり着けるかが実務上の課題となる。

支援内容は、相談支援にとどまらない。公認心理師や臨床心理士等によるカウンセリングは一案件につき10回まで無料、犯罪被害に精通した弁護士による法律相談は一案件につき2回まで無料で受けられる。日常生活支援としては、家事・介護支援、一時保育支援、配食サービス利用支援が設けられている。さらに、経済的負担を軽減する支援金、転居費用の助成、緊急避難場所の提供、市営住宅の一時使用や民間賃貸住宅に関する情報提供など、生活再建に直結する支援も用意されている。

犯罪被害者等基本法のもとでは、国、都道府県、市区町村が連携し、犯罪被害者等の権利利益を保護する施策を進めることが求められている。横浜市の制度は、国や神奈川県の取組と接続しながら、相談者の生活圏に近い基礎自治体が支援を担う点に特徴がある。被害者支援は、刑事手続への参加や損害回復だけでなく、安心して暮らす場所の確保、子どもの保育、食事、介護、心のケアなど、日常を取り戻すための支援を含む総合的な人権保障である。

人権の観点から見れば、犯罪被害者等支援では、被害を受けた人が二次被害にさらされない環境づくりが欠かせない。周囲の不用意な言動、職場や学校での配慮不足、報道やSNSでの詮索は、被害者や家族の回復を妨げる要因となり得る。自治体の相談窓口は、被害者本人が支援にアクセスする入口であると同時に、関係機関が適切に連携するための結節点でもある。横浜市の制度は、犯罪被害を個人の不幸として孤立させず、地域社会が生活再建を支える仕組みとして理解される必要がある。

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