
警察庁は、オンライン上の児童の性的搾取等事犯に対する国際共同オペレーション「オペレーション・サイバー・ガーディアン」の結果を公表した。取締りは2026年3月23日から4月17日まで実施され、日本、シンガポール、タイ、韓国、香港、ブルネイ、マレーシアの7つの国・地域が参加した。捜査対象はオンライン上の児童の性的搾取等事犯の被疑者445人で、382か所の捜索差押えが行われ、パソコン116台、携帯電話等340台、タブレット25台、外部記録媒体140個、ルーター16台が押収された。
日本では、この期間を「児童ポルノ撲滅に関する国際協力強化期間」と位置付け、他国との情報提供等に基づくCSAM(Child Sexual Abuse Material)に係る捜査のほか、都道府県警察によるオンライン上の児童の性的搾取等事犯の取締りを進めた。国内の検挙人員は99人で、最年少14歳、最年長72歳、男性95人、女性4人。検挙罪名には、児童ポルノ公然陳列・製造・所持・提供・保管、児童買春、不同意性交等が含まれる。
今回の発表で重視すべき点は、児童の性的搾取が、もはや国内の個別事件として完結しにくい犯罪類型になっていることである。画像や動画は国境を越えて拡散し、保存、共有、再投稿が繰り返されることで、被害児童は長期にわたり人格と尊厳を侵害され続ける。CSAMという表現が用いられるのも、単なる違法画像ではなく、児童に対する性暴力の記録物であり、その流通自体が二次被害を生むためである。警察機関相互の情報提供、電子機器の解析、国際的な同時取締りは、被害の拡大を抑える上で不可欠となっている。
人権の観点からは、児童を性的搾取から守る取締りとともに、学校、福祉施設、家庭、地域における予防教育と早期発見の仕組みが問われる。警察庁が示した主な検挙事例には、児童通所施設関係者や教員が関与した事案も含まれており、子どもに接する立場の者による加害を防ぐ体制整備の重要性が改めて浮かぶ。教育・福祉現場では、子どもが被害を打ち明けやすい相談経路、職員の採用・研修・監督、スマートフォンやSNSを通じた接触への注意喚起を、形式的な啓発にとどめず実務に落とし込む必要がある。
オンライン上の児童の性的搾取は、画像の削除や加害者の検挙だけで終わる問題ではない。被害児童の心理的回復、家族への支援、学校生活や地域生活への復帰、再拡散防止まで含めた継続的な支援が求められる。警察庁は今後も国際連携を強化し、児童の性的搾取等事犯への効果的な取締りを進めるとしている。取締りの強化と並行して、児童の権利を守る教育、相談、福祉、司法の連携をどこまで具体化できるかが、被害防止の実効性を左右する。
警察庁「オペレーション・サイバー・ガーディアン オンライン上の児童の性的搾取等事犯の集中取締りに係る国際協同オペレーション」
URL:https://www.npa.go.jp/news/release/2026/oparetion2026.pdf

