公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2026年3月24日、教育関係者などを対象にオンラインセミナー「学校で子どもの権利を学ぶ大切さを考える」を開催した。講師には、人権教育や道徳教育を専門とする立命館大学大学院教職研究科の荒木寿友教授が登壇し、学校現場における子どもの権利教育の現状や、授業で子ども自身が権利を学ぶ意義について解説した。
子どもの権利条約は1989年に国連で採択され、日本は1994年に批准した。近年は、こども基本法の施行やこども家庭庁の設置を背景に、子どもの意見表明権や最善の利益を重視する考え方が広がりつつある。一方で、子ども自身が「自分にはどのような権利があるのか」を体系的に学ぶ機会は、学校現場で十分に確保されているとは言い難い。セーブ・ザ・チルドレンは、こうした課題を踏まえ、子どもの権利を分かりやすく学べる教材やウェブサイト「こどものケンリ」を公開している。
セミナーでは、子どもの権利教育が学校の授業で分散的に扱われ、体系的な学習になりにくい現状が共有された。子どもの権利は、いじめ防止、体罰の禁止、校則、意見表明、貧困、虐待、障害のある子どもへの配慮、外国につながる子どもの支援など、学校生活の多くの場面と結び付いている。したがって、単に条約の条文を覚える学習ではなく、日常の学校生活の中で「自分と他者の尊厳をどう守るか」を考える教育として扱う必要がある。
教育現場にとって重要なのは、子どもの権利を「大人が守ってあげるもの」としてだけでなく、子ども自身が理解し、必要なときに声を上げ、周囲に相談できる力につなげることである。自分の権利を知ることは、わがままを助長するものではなく、他者にも同じように権利があることを理解する基礎になる。対話やグループワークを通じた学習は、意見の違いを尊重しながら合意形成を学ぶ機会にもなる。
子どもの権利教育は、学校だけで完結するものではない。教育委員会、自治体、保護者、地域の支援団体が、学校現場の取組を支える視点も欠かせない。校則の見直し、相談体制の整備、いじめ対応、児童虐待への気づき、特別な支援を必要とする子どもへの合理的配慮など、子どもの権利は教育実務と直接つながっている。今回のセミナーは、子どもを単なる保護の対象ではなく、権利を持つ主体として捉える学校づくりに向け、教育関係者が授業や校内運営を見直す契機となる。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
https://www.savechildren.or.jp/scjcms/press.php?d=4921

