1.鳥取県米子市で10月31日、「拉致問題の早期解決を願う国民のつどい」が開催される。
2.松本京子さんら拉致被害者・特定失踪者の家族による訴えや、飯塚耕一郎さんの講演が行われる。
3.高校生の書道、中学生の学習発表、少年少女合唱団の歌声を通じ、幅広い世代が拉致問題について学ぶ。

拉致被害者家族の訴えを米子市で共有
鳥取県と政府拉致問題対策本部などは2026年10月31日、米子コンベンションセンター国際会議室で「拉致問題の早期解決を願う国民のつどいin米子」を開催する。午後1時から3時まで、拉致被害者や特定失踪者の家族による訴え、講演、学生の学習成果発表などが行われる。
鳥取県によると、国や県などの共催による国民のつどいは今回で17回目となる。
会場では松本京子さんの兄、松本孟さん、上田英司さんの兄、上田淳則さんが登壇する。また、古都瑞子さんの弟、古都資朗さんの訴えは代読される予定だ。
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の事務局長、飯塚耕一郎さんによる講演「拉致被害者救出のために」も予定されている。
飯塚さんは、政府認定拉致被害者である田口八重子さんの長男。拉致問題の解決を目指す家族会の活動に携わっている。
今回のつどいでは、被害者家族の話を直接聞く機会に加え、中学生や高校生の学習成果を紹介することで、世代を超えて拉致問題について考える内容となっている。
米子市で失踪した松本京子さん
鳥取県と拉致問題の関係を理解するうえで欠かせないのが、米子市で1977年10月21日に消息を絶った松本京子さんの事案である。
松本さんは当時29歳。自宅近くの編み物教室に向かう途中で行方が分からなくなった。
警察は関係者への事情聴取や現場周辺での捜査などを行い、北朝鮮による拉致容疑事案と判断している。
政府は2006年11月20日、松本さんを北朝鮮による拉致被害者として認定した。現在も安否は確認されていない。
今回のつどいに先立ち、繁本護内閣府大臣政務官は10月31日午前10時50分から、米子市立和田小学校周辺の拉致現場を視察する予定だ。
午後0時15分からは、鳥取県知事、米子市長、県議会議員連盟会長らが、拉致問題の早期解決に向けた要望書を繁本大臣政務官に提出する。
政府認定拉致被害者と特定失踪者の違い
今回の行事では、政府認定の拉致被害者と特定失踪者の家族が登壇する。
政府認定拉致被害者とは、政府が北朝鮮当局によって拉致されたと認定した人を指す。
これに対して特定失踪者は、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者として、民間の調査団体などが調査対象としている人々を指す言葉である。
特定失踪者であることは、政府による拉致被害者認定と同じ意味ではない。また、政府による認定を受けていないからといって、拉致の可能性が否定されたことにもならない。
鳥取県では、松本京子さんのほか、古都瑞子さん、上田英司さんなどの事案について、県が関連情報を公開している。
家族にとっては、失踪の経緯や現在の所在が分からない状態が長期間続くこと自体が、生活に大きな影響を与える。
行方不明となった人の安否を確かめ、家族が再会できるようにするという問題は、生命や自由に関わる人権課題であると同時に、家族の生活と深く結びついている。
拉致問題に関する法律と国の責務
2006年6月、日本では「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」が制定された。
この法律は、北朝鮮当局による拉致問題などについて、国民の認識を深め、国際社会と連携して実態解明や抑止を進めることを目的としている。
法律では、拉致問題を解決するために国が最大限の努力を行うこと、政府が被害者の安否について情報を収集し、帰国実現に努めることなどが定められている。
また、毎年12月10日から16日までを「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」とし、国や地方公共団体が啓発事業を実施する仕組みも設けられた。
鳥取県は、国の啓発週間とは別に、10月を「鳥取県拉致問題等啓発月間」としている。
1977年10月21日に松本京子さんが失踪した米子市で開催される今回の国民のつどいは、地域の歴史的な事案と国全体の拉致問題を結びつけて考える機会にもなる。
学生の書道と学習発表を実施
今回の行事では、若い世代による発表も予定されている。
鳥取県立米子東高等学校書道部は、拉致問題の解決を願う書道パフォーマンスを披露する。
パフォーマンスは事前に収録した映像を上映し、完成した作品を当日、書道部員がステージで紹介する予定だ。
学校法人鶏鳴学園青翔開智中学校の生徒は、拉致問題の学習会で得た知識や考えをまとめた動画を発表する。
午後2時45分からは、山陰少年少女合唱団リトルフェニックスによる合唱も予定されている。
拉致問題について学ぶ際には、事件の年月日や外交交渉の経緯だけでなく、被害者と家族が置かれている状況を知ることも欠かせない。
学校で学んだ内容を動画や書道などの表現活動に結びつけることは、過去の出来事として知識を得るだけでなく、学んだことを他者に伝える活動にもなる。
県内3会場とオンライン配信で参加
国民のつどいは米子コンベンションセンターを主会場とし、鳥取市のとりぎん文化会館第1会議室、倉吉市の倉吉交流プラザ第1研修室をサテライト会場として開催する。
政府拉致問題対策本部の公式YouTubeチャンネルでは、当日の生配信も予定されている。
主会場は入場無料、定員300人で、事前申し込み制。申し込みの期限は10月23日となっている。
参加申し込みは鳥取県の電子申請サービス、電話、ファクスなどで受け付けており、問い合わせ先は鳥取県人権・同和対策課(0857-26-7592)。
現地での参加が難しい人も、オンライン配信を通して被害者家族の訴えや学生の発表に触れることができる。
政府拉致問題対策本部、鳥取県、米子市などが開催する今回のつどいは、被害者家族の声と次世代の学びを共有し、拉致問題への理解を深める場として実施される。
鳥取県「『拉致問題の早期解決を願う国民のつどいin米子』及び関連行事」
URL:http://db.pref.tottori.jp/pressrelease.nsf/webview/DBD13F9FF61627FD49258E92002B4C00?OpenDocument
出典 鳥取県「拉致問題の早期解決を願う国民のつどいin米子を開催します」
URL:https://sc-www.pref.tottori.lg.jp/330186.htm
出典 米子市「拉致問題の早期解決を願う国民のつどいin米子」
URL:https://www.city.yonago.lg.jp/49144.htm
出典 鳥取県「拉致被害者 松本京子さんの事案」
URL:https://www.pref.tottori.lg.jp/93163.htm
出典 e-Gov法令検索「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC1000000096
拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題対処法
URL:https://jinken-news.com/glossary/rachi-mondai-kita-chosen-jinken-shingai-taishoho/
北朝鮮人権侵害問題啓発週間
URL:https://jinken-news.com/glossary/kitachosen-jinken-shingai-mondai-keihatsu-shukan/

