目黒区議会、ハラスメント防止研修 外部窓口運用後初の実施

この記事のポイント

1.目黒区議会は5月19日、議会ハラスメント防止対策研修会を開催した。
2.令和8年度から内部相談窓口、外部相談窓口、ハラスメント相談者保護委員を設置し、相談体制の本格運用を始めている。
3.研修ではパワハラ、セクハラ、マタハラに加え、議員活動に特有の「票ハラスメント」や証拠記録の重要性も扱った。

目黒区の議会ハラスメント防止対策研修会

目黒区議会は2026年5月19日、「地方議会議員とハラスメントの注意点・防止について」をテーマに、議会ハラスメント防止対策研修会を開いた。区議会は2026年度から、内部相談窓口、外部相談窓口、ハラスメント相談者保護委員を設置し、相談体制の本格的な運用を開始している。今回の研修は、その体制整備を議員活動の実務に接続する取組として実施された。

講師は、目黒区議会のハラスメント防止対策に協力している弁護士法人ブレインハート法律事務所の菅野晴隆社長弁護士と西岡良祐弁護士。研修では、ハラスメントの三大類型として、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントを取り上げ、事例を交えながら、判断基準、具体的な対応方法、留意点を説明した。目黒区議会の公表資料は、議員活動に特有のいわゆる「票ハラスメント」や、相談時の証拠収集方法、記録の重要性にも触れたとしている。

目黒区議会は2025年5月7日、「目黒区議会におけるハラスメント防止指針」を策定した。指針は、議員が当事者となるあらゆるハラスメントを防止し、全ての議員が個人としての人格と尊厳を尊重され、良好な執務環境を確保することを掲げる。定義上のハラスメントには、セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメント、パワー・ハラスメントのほか、誹謗中傷や風評の流布など、相手方に直接または間接に行われる人権侵害行為が含まれる。

議会におけるハラスメント対策は、一般の職場内ハラスメントと同じ枠組みだけでは整理しきれない。議員は選挙で選ばれた政治的主体であり、会派、支持者、職員、執行機関、住民との関係が重なり合う。議員間の関係では、政党・会派、当選回数、性別、年齢などが発言力の差として作用する場合がある。職員との関係では、議員の調査権能や発言力が、正当な政策要求と過度な要求の境界を見えにくくすることがある。

人権上の論点は、政治参加の場そのものが、特定の人にとって不利益や萎縮を生む空間にならないようにする点にある。ハラスメントが放置されれば、被害者の人格や尊厳が傷つくだけでなく、議員活動、候補者の参入、職員の執務環境にも影響する。内閣府男女共同参画局も、政治分野におけるハラスメント防止研修教材を公表しており、政治分野の男女共同参画を進めるうえで、研修や相談体制の整備が課題として扱われている。

目黒区議会の指針は、内部相談員と外部相談員を置き、解決が図られない事態に備えて、弁護士であるハラスメント相談者保護委員を置く仕組みを示している。外部相談員は、心理職や弁護士、社会保険労務士など専門知識を有する第三者とされ、内部相談員、外部相談員、保護委員は、政党、会派、当事者の干渉や影響を排し、中立・公平に相談業務に当たるとされる。5月19日の研修は、この相談体制を形式で終わらせず、目黒区議会の議員が自らの言動を点検する場として実施された。

出典

目黒区「議会ハラスメント防止対策研修会を開催しました(令和8年5月)」
URL:https://www.city.meguro.tokyo.jp/kugikai/kusei/kugikai/r8-5harassment-boushi.html

目黒区「区議会におけるハラスメント防止指針」
URL:https://www.city.meguro.tokyo.jp/kugikai/kusei/kugikai/harassment_sisin.html

内閣府男女共同参画局「政治分野におけるハラスメント防止のための取組」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/seijibunya/seijibunya_harassment.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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