新潟市・ハローワーク、300社に公正採用研修 外国人採用との境界整理

この記事のポイント

1.新潟市と新潟公共職業安定所が9月3日、約300社を対象に公正採用選考研修を行う
2.外国人材の採用・定着と、公正採用選考を同じ研修の中で扱う
3.在留資格など就労可能性の確認は必要だが、国籍や本人の適性・能力と無関係な事項を採否基準にすることとは別問題である

公正採用と多様性を尊重する職場

新潟市と新潟公共職業安定所は9月3日、新潟テルサで「公正採用選考人権啓発推進員研修会」を開催する。対象は企業の推進員、事業主、人事担当者など約300社・300人。新潟県外国人材受入サポートセンターの真山祥人コーディネーターが「外国人材の活用について―人手不足を乗り越える採用戦略と定着のポイント―」を講演し、公正採用選考を扱う映像教材「未来への責任」も上映する。

映像教材では、過去に採用面接で不適切な質問を行い、公共職業安定所から指導を受けた企業を題材として、公正採用の基本を確認する。厚生労働省が示す原則は、応募者の基本的人権を尊重し、本人の適性と能力に基づいて採否を判断することだ。本籍・出生地、家族の職業や収入、宗教、支持政党、人生観など、職務遂行能力と関係しない事項を把握して選考に使うことは、就職差別につながるおそれがある。

外国人採用では、ここに別の確認事項が加わる。企業は在留カードや旅券などにより、応募者が就労できる在留資格を持っているか、就労できる範囲はどこまでかを確認しなければならない。他方、厚生労働省は、外国人についても国籍を理由とした差別的な募集・採用を行わず、能力や適性に基づいて採用することを基本としている。在留資格の確認という法令上必要な手続と、「外国人だから定着しにくい」など属性から人物像を推測して採否を決めることは、同じ行為ではない。

この区別は、外国人材を人手不足対策として採用する企業が増えるほど実務的になる。募集時にどの在留資格が必要かを明記すること、就労資格を確認することは適正な雇用管理に属する。しかし、出身国、家族関係、文化的背景などを職務と無関係に採否へ結び付ければ、公正採用選考の原則から外れる。外国人材の「採用数を増やす」ことと「差別なく採用する」ことは別々の目標ではなく、一つの選考過程で同時に扱わなければならない。

新潟市と新潟公共職業安定所が9月3日の研修で外国人材の採用・定着と公正採用選考を続けて扱う構成は、この実務上の境界を確認する機会になる。約300社の参加企業にとって、研修内容を自社の応募書類、面接質問、在留資格確認の手順まで落とし込めるかが、公正採用選考人権啓発推進員制度を実務で機能させるための具体的な課題となる。

出典

新潟市「公正採用選考人権啓発推進員研修会」
URL:https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/koho/houdou/202608.files/260824_2.pdf

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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