広島市、こども性暴力防止法へ実務整理 12月施行前に7項目

この記事のポイント

1.広島市は、2026年12月25日に施行されるこども性暴力防止法について、認可保育所など義務対象事業者が準備する事項を7項目に整理した。
2.制度は性犯罪歴の確認だけではなく、採用、就業規則、研修、相談、疑い事案の報告、安全確保措置までを事業者に課す。
3.性犯罪歴は高度に機微な情報であり、子どもの安全確保と同時に、閲覧者の限定や記録管理など従事者のプライバシー保護も制度運用の柱となる。

こども性暴力防止法施行までに対応すべき事項

広島市は、12月25日に施行される「こども性暴力防止法」について、認可保育所や認定こども園などの義務対象事業者が施行前に対応する事項を7分野に整理して公開した。法律の正式名称は「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」。2024年6月19日に成立、同月26日に公布された。広島市は、対応主体が個々の施設ではなく、法人など施設の設置事業者であることも明示している。

「日本版DBS」と呼ばれるため、制度は性犯罪歴の確認に関心が集中しやすい。しかし実際の仕組みはそれより広い。広島市が示した準備事項には、国の「こまもろうシステム」への登録、対象従事者への周知、就業規則や募集要項の見直し、研修、相談窓口、性暴力が疑われる場合の報告・対応ルール、情報管理などが含まれる。疑い事案を把握した場合には、広島市こども未来局幼保企画課への速やかな報告も案内している。犯罪歴を調べるだけでは、採用後に起きる不適切な接触や兆候への対応を代替できないためだ。

対象者の範囲も肩書だけでは決まらない。こども家庭庁の準備ガイドでは、教員や保育士は対象となる一方、事務職員や送迎バス運転手などは、子どもに対する「支配性」「継続性」「閉鎖性」の3要件を業務実態に照らして判断する。雇用形態の違いだけで除外されず、短期間の労働者も対象になり得る。オンライン上で子どもと接触する場合も「閉鎖性」の判断に含まれる。正規職員だけを確認して終える運用では制度の対象を取りこぼす可能性がある。

もう一つの論点は情報管理である。性犯罪歴は本人の社会生活に重大な影響を及ぼす機微性の高い情報であり、法律は子どもの安全を確保するための確認を認める一方、目的外の共有を自由に認めた制度ではない。広島市も閲覧者の限定や情報管理規程の整備を事業者に促している。犯罪歴の有無を職場内で広く共有する運用になれば、制度が別の権利侵害を生む可能性がある。子どもを性暴力から守ることと、確認情報を必要な範囲だけで取り扱うことの双方が必要になる。

施行まで4か月余りとなった段階で事業者が確認すべきなのは、DBS申請ができるかだけではない。誰を対象従事者とするか、誰が情報を見るか、疑いを把握した職員がどこへ報告するか、子どもや保護者が相談できる経路があるかまで、組織内の動線を具体化する必要がある。広島市が示した2~7の実務項目は、12月25日の施行日に制度を実際に動かすための準備表として使うことができる。

出典
人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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