こども性暴力防止法/日本版DBSとは

こども性暴力防止法とは、学校、認可保育所、幼稚園、児童福祉施設、学習塾、スポーツクラブなど、こどもに教育・保育等を提供する事業者に対し、児童対象性暴力等を防ぐための措置を求める法律です。正式名称は「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」です。報道などでは、こどもと接する職に就く人の性犯罪歴を確認する仕組みに着目して「日本版DBS」と呼ばれることもあります。

1.こども性暴力防止法/日本版DBSの意味

こども性暴力防止法は、教育・保育などの場で、こどもへの性暴力を防ぐために作られた法律です。事業者が、日頃から児童対象性暴力等を防ぐための体制を整え、従事者への研修、相談体制の整備、被害が疑われる場合の調査や保護・支援などを行うことを求めています。

この法律のうち、特に注目されているのが、こどもに接する業務に就く人について、一定の性犯罪前科の有無を確認する仕組みです。英国のDBS制度になぞらえて「日本版DBS」と呼ばれますが、法律全体は性犯罪歴の確認だけを定めたものではありません。

対象となるのは、学校や認可保育所などの義務対象事業者と、国の認定を受ける民間教育保育等事業者です。こども家庭庁は、学校、認可保育所などの義務対象事業者が使える「法定事業者マーク」と、学習塾やスポーツクラブなどで国の認定を受けた事業者が表示できる「認定事業者マーク」も示しています。

2.制度・法律との関係

こども性暴力防止法は、2024年6月19日に成立し、同月26日に公布されました。施行日は2026年12月25日です。こども家庭庁は、同法の施行に向けて、ガイドライン、Q&A、事業者向けチェックリスト、研修教材、各種ひな型などを公表しています。

同法では、対象事業者に対し、児童対象性暴力等を防ぐための日常的な措置、性暴力等のおそれの早期把握、相談体制の整備、研修、被害が疑われる場合の調査、被害児童等の保護・支援などが求められます。

性犯罪前科の確認については、こどもに接する業務に従事する人を雇い入れる場合や、配置転換などで新たに対象業務に就かせる場合に確認が必要になります。施行時点ですでに勤務している現職者についても、一定の経過措置の中で確認が求められます。

3.人権上の論点

こども性暴力防止法の中心にあるのは、こどもが教育・保育・居場所支援・習い事などの場で、安全に過ごす権利をどう守るかという問題です。こどもへの性暴力は、身体への侵害にとどまらず、心身の発達、対人関係、学びの機会、自己肯定感に深刻な影響を及ぼします。

人権上の論点は、こどもの安全確保だけではありません。性犯罪歴の確認は、従事者の職業選択、プライバシー、個人情報保護にも関わります。そのため、確認できる犯罪の範囲、情報の管理、本人への通知、採用・配置上の取扱い、記録保存のあり方について、事業者が厳格に運用する必要があります。

この制度は、「性犯罪歴を確認すれば安全になる」という単純な仕組みではありません。面談や相談体制、職員研修、施設内のルール整備、被害が疑われる場合の迅速な調査と保護者・児童への説明を組み合わせて、初めてこどもの安全を守る制度として機能します。こども性暴力防止法は、学校、保育所、学習塾、スポーツクラブなど、こどもと接する事業者の安全管理を制度化する法律です。

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