1.新潟県教育委員会は10月23日、2024年6月の生徒自死事案に関し、教諭を免職とした。
2.県教委は前任校での不適切な部活動指導を自死に至る要因と認定し、管理職らへの措置も行った。
3.生徒の人格と尊厳を尊重した部活動指導に加え、管理職による早期把握と是正の役割が問われる事案となった。

生徒の自死事案に関する処分
新潟県教育委員会は2026年10月23日、2024年6月5日に発生した生徒の自死事案に関し、県立新発田農業高等学校の小田和輝教諭(54歳)を免職とする懲戒処分を行った。県教委は、前任校における当該生徒への不適切な部活動指導を、生徒が自死に至った要因と認定している。処分理由では、この指導を生徒に対するハラスメントと明記した。
当時の管理職についても、部活動顧問の不適切な指導を把握しながら、是正のための管理監督を十分に行っていなかったとして措置を行った。当時の校長だった60代の男性臨時的任用職員は戒告相当、当時の副校長だった50代の男性校長と、別の50代の男性教頭は文書訓戒とされた。教育長についても、教育委員会事務局を統括する立場から、給料月額の10分の1を1か月減給することに相当する措置が示されている。
懲戒処分と管理監督責任の違い
今回の公表では、「免職」「戒告相当」「文書訓戒」という異なる措置が記載されている。
懲戒免職は、地方公務員法に基づく懲戒処分の中で最も重い処分である。これに対し、文書訓戒は通常、法律上の懲戒処分とは区別される服務上の指導措置である。「戒告相当」についても、正式な懲戒処分としての戒告と同一視することはできない。今回の処分内容は、当事者の身分や措置の法的性質を区別して理解する必要がある。
教員本人による不適切な指導と、管理職による監督の不十分さも別々の問題である。県教委が管理職の責任に言及したことは、教育現場における生徒の安全確保が、顧問教員の個人的な判断だけに委ねられるものではないことを示している。
部活動指導と生徒の人権
学校教育法上の学校教育活動として行われる部活動は、生徒が技能を身につけ、協調性や主体性を育む機会となる。しかし、指導の目的が教育的なものであっても、生徒の人格を否定する言動や、心理的に追い詰める行為が正当化されるわけではない。
特に部活動では、指導者が出場機会、練習内容、チーム内の役割などに影響力を持ち、生徒との間に大きな力関係が生じることがある。そのため、生徒が不適切な指導を受けたと感じても、部活動を続けたいという思いや周囲との関係から、異議を申し立てにくい場合がある。
教員の指導が教育的に適切かどうかを判断する際には、指導者の意図だけでなく、生徒の尊厳や心身への影響、指導内容と方法の相当性を考慮することが必要となる。これは、部活動に限らず授業、生活指導、進路指導にも共通する問題である。
不適切な指導を組織として把握する仕組み
今回の事案では、県教委が管理職による指導の把握と是正の不十分さを認定した点も重要である。
学校では、管理職による日常的な指導状況の確認や、生徒・保護者からの相談を受ける経路が、問題の早期把握に関わる。生徒が顧問に直接相談しにくい場合でも、担任、養護教諭、スクールカウンセラー、管理職、教育委員会など、複数の相談先があることは、生徒が助けを求めるための選択肢となる。
一方、個別の自死事案については、複数の事情を慎重に検討する必要がある。県教委は不適切な部活動指導を自死に至る要因と認定したが、そのことを超えて、未公表の経緯や当事者の心理状態を推測することはできない。
新潟県教育委員会は同日、別件として、小学校管理職の速度超過違反と小学校教諭の交通加害事故についても、それぞれ減給1か月の懲戒処分を公表している。これらは生徒自死事案とは別個の事案であり、処分理由も異なる。
今回の公表は、不適切な指導を行った教員の責任に加え、その指導を把握し、是正する立場にあった管理職の責任を具体的に示したものである。新潟県教育委員会が公表した認定内容は、学校と部活動における生徒の尊厳と安全を考える資料となる。
新潟県教育委員会「教職員等の処分等を行いました」 URL:https://www.pref.niigata.lg.jp/site/kyoiku/20261023jinjisochi.html
新潟県教育委員会「報道資料」 URL:https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/513375.pdf

-氏.png)