1.岐阜市が9月の認知症月間に展示、認知症カフェ、サポーター養成講座、公開セミナーを集中実施する
2.2024年施行の認知症基本法は、本人の尊厳、意思、社会参加を基本理念としている
3.啓発人数だけでなく、本人参加や相談・地域支援への接続が機能したかを確認する必要がある

岐阜市は2026年9月18日から24日まで、ぎふメディアコスモスで認知症カフェ、介護者のつどい、チームオレンジ、相談先などを紹介する展示を実施する。9月19日には認知症専門医を交えた認知症カフェ、29日には岐阜市役所で定員約100人の認知症サポーター養成講座を開催する。24日の公開セミナーは約150人を対象とし、認知症サポート医の石山俊次氏による講演に加え、認知症の本人と家族からのメッセージ、座談会を組み込む。
9月21日の「認知症の日」と9月1日から30日までの「認知症月間」は、2024年1月施行の「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」に法的根拠を持つ。同法は、認知症の人が尊厳を保持し、希望を持って生活できることや、本人の意思に基づいて社会参加の機会を確保することなどを基本理念としている。認知症施策は、病気の症状を住民に説明する啓発だけではなく、買い物、移動、医療、行政手続、地域活動など日常生活の場面で本人の選択を支える仕組みまで含む。厚生労働省も2026年の認知症月間に全国各地の関連イベントやライトアップを集約している。
世界保健機関(WHO)が2026年7月に更新した認知症のファクトシートによると、2021年時点で世界の認知症の人は約5700万人で、年間約1000万人が新たに認知症を発症している。WHOは、認知症に対する認識不足が偏見や診断・ケアへの障壁につながることに加え、家族などによる非公式ケアの負担も指摘する。世界ではこうしたケア時間の約70%を女性が担うとしており、認知症施策は本人の権利だけでなく、介護者への相談、情報、休息支援とも関係する。
岐阜市の構成で特徴的なのは、ライトアップや展示だけで終えず、認知症カフェ、地域包括支援センターによる養成講座、本人・家族が登壇するセミナーを同じ月間に組み合わせた点にある。ただし、本人がセミナーで経験を語ることと、事業の企画・評価そのものへ参加することは同じではない。公開資料からは、本人が月間事業の設計にどの程度関与したかまでは確認できない。岐阜市が月間終了後、相談先への接続数、サポーターの地域活動、本人・家族からの評価などを把握することで、認知症基本法が掲げる共生を地域実務へどこまで移せたかを具体的に検証できる。
岐阜市「認知症月間啓発イベント2026」
URL: https://www.city.gifu.lg.jp/kenko/koureisyafukushi/1004584/1017327/index.html
厚生労働省「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」
URL: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab9328&dataType=0&pageNo=1
厚生労働省「認知症の日・認知症月間2026」
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/alzheimerday2026_00004.html
WHO「Dementia」
URL: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/dementia
e-Gov法令検索「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」
URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC1000000065

