東京都人権プラザ「子どもの声」講座 聴くだけで終わらない学校参加へ

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この記事のポイント

1.東京都人権プラザは9月30日、「児童・生徒のviewsを尊重する学校づくり」の人権啓発指導者養成セミナー動画を公開した。
2.子どもの意見表明権は「意見を言わせること」だけでなく、その意見を検討し、結果や理由を本人に返す過程まで含めて考える必要がある。
3.多数派の児童・生徒の意見だけを集めれば、障害、家庭環境、言語などの事情から声を上げにくい子どもが取り残される可能性がある。

東京都

■「views」を学校づくりに

東京都人権プラザは2026年9月30日、「子どものウェルビーイングのために 児童・生徒のviewsを尊重する学校づくり」の講座動画を公開した。9月8日に開催した2026年度第1回人権啓発指導者養成セミナーを収録したもので、筑波大学人間系助教の古田雄一氏が講師を務めた。

セミナーでは、学校生活の中で子どもが意見を表明しやすい環境をどうつくるか、表明された意見をどう尊重・反映するか、学校で困難を抱える子どもや社会的に不利な状況に置かれている子どもをどう包摂するかを扱った。会場参加は60人、オンラインは申込者全員を対象とし、手話通訳や点字通訳などの情報保障についても相談を受け付けていた。

■「アンケートを取った」で終わらせない

こども基本法第11条は、国と地方公共団体がこども施策を策定、実施、評価する際、対象となる子どもなどの意見を反映するために必要な措置を講じることを定めている。こども家庭庁は、教育施策もこの「こども施策」に含まれると説明している。

ただし、意見を聴くことは、希望を全て採用することではない。施策の目的、安全、他者の権利、実現可能性などとの調整はあり得る。人権上の問題は、意見を採用しなかったこと自体ではなく、子どもが意見を言える機会を持てなかったり、聴いた意見がどのように検討されたか全く説明されなかったりすることにある。「意見箱を置いた」「アンケートをした」という手続だけで、参加が実質化したとは言えない。

■声の大きい子だけを「子どもの意見」にしない

さらに難しいのが、誰の声を聴くかである。生徒会で積極的に発言できる子、文章を書くことが得意な子だけから意見を集めれば、それを「子どもの声」と呼んでも一部の声に偏る。障害がある、家庭環境に困難がある、日本語での表現が難しい、学校で孤立しているなどの事情から意見を言いにくい子どもには、別の方法や支援が必要になる。

こども家庭庁は2026年5月改定の「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」でも、子ども・若者が安心して意見を表明できる場をつくり、多様な声を聴くための工夫を示している。意見反映の制度は「発言する能力のある子ども」を選ぶ仕組みではなく、声を出しにくい人も参加できる条件を整えることまで含む。

■多数決では守れない権利もある

子どもの参加を進めるとき、意見表明を多数決と同義にしないことも大切だ。例えば、少数の子どもが障害、宗教、国籍、性的指向などを理由に不利益を受ける校則があった場合、クラスの多数が支持したからといって差別の問題が消えるわけではない。参加民主主義と人権保障は重なるが、同じものではない。

東京都人権プラザが今回の講座で「声を上げやすい子どもだけでなく、学校で困難を抱える子ども」を明示した点は、人権教育として核心に近い。学校づくりを評価する際には、意見を聴いた人数だけではなく、誰の声が届かなかったか、意見をどう検討し、どのように返したかを見る必要がある。9月30日に公開された動画は、その実務を考える教材として利用できる。

出典

東京都人権プラザ「『子どものウェルビーイングのために 児童・生徒のviewsを尊重する学校づくり』動画の公開」
URL:https://www.tokyo-hrp.jp/plaza-info20260930.html

東京都人権プラザ「子どものウェルビーイングのために 児童・生徒のviewsを尊重する学校づくり」
URL:https://www.tokyo-hrp.jp/sem-coach-2026-01.html

こども家庭庁「こども基本法に基づくこども施策の策定等へのこどもの意見の反映について(自治体向けQ&A)」
URL:https://www.cfa.go.jp/laws/kodomo-kihon-iken

こども家庭庁「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」
URL:https://www.cfa.go.jp/policies/iken/ikenhanei-guideline

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人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、裁判所、企業、公益団体、国際機関などが公表する一次情報を確認し、差別、子ども、障害者、高齢者、教育、福祉、司法・制度、外国人、ビジネスと人権などに関するニュース、制度解説、独自調査を発信しています。記事では出典を明示し、事実関係を確認したうえで、関連する法制度や統計、過去の経緯などを参照しながら、人権上の論点や社会的背景を整理しています。

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