三重県LGBTQ等コミュニティスペース 「居場所」を医療アクセスにつなぐ

スポンサーリンク
スポンサーリンク
この記事のポイント

1.三重県は11月15日、鈴鹿市でLGBTQ等当事者、家族、友人、アライを対象とするコミュニティスペースを開催する。
2.産婦人科医の藤田圭以子氏が医療面から当事者を取り巻く状況を取り上げ、交流会と個別相談も行う。
3.性的指向や性自認を安心して話せる環境は「居心地」の問題だけでなく、必要な医療や相談へアクセスするための条件にもなる。

三重県のLGBTQ等コミュニティスペース~ゲストトーク&交流会~

■ニックネーム参加、会場は申込者に通知

三重県は2026年11月15日、鈴鹿市で「LGBTQ等コミュニティスペース~ゲストトーク&交流会~」を開催する。対象はLGBTQ等当事者や「LGBTQ等かもしれない」と思っている人、家族、友人、アライで、定員は20人程度。具体的な会場は申込者に知らせ、本名ではなくニックネームや通称名でも申し込める。

午後2時から産婦人科医の藤田圭以子氏が「LGBTQ等当事者をとりまく状況(医療の観点から)」をテーマに話し、午後3時からは交流会と個別相談を行う。一般社団法人ELLYと協力するスタッフが対応し、質問について県は個人情報を厳守するとしている。

■プライバシーは参加しやすさ以上の問題

三重県は、このコミュニティスペースを2021年4月施行の「性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例」の趣旨に基づく事業としている。同条例は、性の多様性を理由とする不当な差別的取扱いをなくすことに加え、本人の意思に反して性的指向や性自認を第三者へ伝えるアウティングの問題も扱っている。

性的指向や性自認を、誰に、いつ、どこまで伝えるかは本人に関わる情報である。支援を受けるために不要な開示を迫られたり、相談したこと自体から周囲に推測されたりする環境であれば、制度が存在しても利用をためらう人が出る。ニックネームでの参加や会場を限定して通知する運営は、こうした情報管理と関係する。

■医療では「話した方がよい」と「話したくない」が衝突する

今回のテーマが医療であることは、この問題をさらに具体的にする。診療内容によっては、身体に関する情報、ホルモン療法、性的行動などを医療者へ伝えることが診療上役立つ場合がある。一方、過去に偏見や否定的対応を経験した人が「話せば差別される」と感じれば、必要な情報を伝えない、受診自体を避けるという選択につながる可能性がある。

WHOは、LGBTIQ+の人々がスティグマや差別を理由に医療サービスを利用しにくくなる場合があり、医療現場で診療拒否、差別的態度、不適切な病理化などを経験することがあると指摘している。安心して話せることは心理的な快適さだけでなく、適切な医療へ到達する条件でもある。

■「居場所」を最終地点にしない

コミュニティスペースには、孤立を減らし、同じ経験を持つ人とつながる役割がある。ただし、交流そのものでは医療、家族関係、学校、職場、法的問題が解決しない場合もある。参加者の困りごとに応じて、専門医療、相談窓口、行政制度などへつなげられるかが次の段階になる。

三重県の今回の事業は、条例で掲げるプライバシーへの配慮を、ニックネーム参加、限定的な会場通知、無記名・任意アンケートといった具体的運営にも落とし込んでいる。11月15日の鈴鹿市での開催では、「安心して集まれる居場所」が医療や相談へのアクセスを広げる入口として機能するかが、人権施策としての検証点となる。

出典

三重県「LGBTQ等コミュニティスペース~ゲストトーク&交流会~を開催します」
URL:https://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0011500586.htm

三重県「性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例」
URL:https://www.pref.mie.lg.jp/IRIS/HP/m0052600169.htm

WHO「Improving LGBTIQ+ health and well-being with consideration for SOGIESC」
URL:https://www.who.int/activities/improving-lgbtqi-health-and-well–being-with-consideration-for-sogiesc

スポンサーリンク
スポンサーリンク
人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、裁判所、企業、公益団体、国際機関などが公表する一次情報を確認し、差別、子ども、障害者、高齢者、教育、福祉、司法・制度、外国人、ビジネスと人権などに関するニュース、制度解説、独自調査を発信しています。記事では出典を明示し、事実関係を確認したうえで、関連する法制度や統計、過去の経緯などを参照しながら、人権上の論点や社会的背景を整理しています。

人権ニュース編集部をフォローする
日本福祉
シェアする
タイトルとURLをコピーしました