1.国際協力NGOジョイセフは9月27日、東京駅前で性教育と性暴力防止を訴える街頭行動を開催した。
2.支援団体や専門家が、性的同意、妊娠相談、外国人女性への情報提供、災害時の性暴力などを取り上げた。
3.包括的性教育の普及とともに、本人が必要な医療や相談、法的支援を実際に利用できる制度環境が課題となる。

東京駅前で4年目の街頭行動
国際協力NGOジョイセフ(JOICFP)は2026年9月27日、東京駅前で「SRHR for ALL スタンディングアクション」を開催した。10月16日に公表した活動報告によると、4年目となる今回のテーマは「#性教育をすべての人に」「#性暴力をなくそう」。ジョイセフの草野洋美氏や理事の谷口真由美氏のほか、性暴力被害者支援、妊娠相談、外国人女性支援、災害復興支援などに関わる専門家や団体関係者がスピーチを行った。街頭行動では、包括的性教育の普及と、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の保障について問題が提起された。
SRHRは、性や生殖に関する正確な情報を得て、自らの身体や人生について意思決定し、必要な医療や支援を受けられることなどに関わる概念である。妊娠・出産や避妊だけでなく、性的同意、性暴力からの保護、健康情報へのアクセスなども含まれる。今回の行動では、これらを個人の知識や責任の問題に限定せず、教育制度や医療・福祉制度との関係から考える必要性が示された。
包括的性教育と性的同意を学ぶ機会
NPO法人ピルコンの染矢明日香氏は、学校や地域によって性教育の内容や質に違いがあることを指摘し、包括的性教育を公教育の中で広げる必要性を訴えた。包括的性教育は、身体の仕組みや妊娠の知識に加え、人間関係、尊重、性的同意、暴力の防止などを扱う教育である。
性的同意について学ぶことは、単に被害を防ぐための知識を得るだけではない。自分の意思を伝えること、相手の拒否を尊重すること、上下関係や威圧によって自由な意思表示が妨げられる場合があることを理解する機会でもある。2023年の刑法改正で整備された不同意性交等罪や不同意わいせつ罪も、同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態などを問題とする制度であり、教育上の性的同意という概念と関連する。ただし、教育上の考え方と刑事法上の犯罪成立要件は同一ではない。
妊娠相談と外国人女性の情報格差
認定NPO法人ピッコラーレの土屋麻由美氏は、妊娠に関する困難を抱える人が相談先や受診費用を確保できず、孤立する問題について説明した。一般社団法人THYMEの卜田素代香氏は、性暴力被害者が心理的支援や法的手段などの選択肢を知り、本人の意思によって判断できることの必要性を訴えた。
上智大学の田中雅子氏は、滞日外国人女性に日本の制度や支援情報が十分に届いていない問題を取り上げた。ジョイセフの報告では、日本で長く働きながら生理休暇制度の存在を知らなかった女性の例が紹介されている。労働基準法第68条は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合、その者を生理日に就業させてはならないと定めている。法律上の権利が存在していても、本人が制度を知らず、勤務先からも説明されなければ、利用は難しくなる。
災害時の性暴力と情報不足
一般社団法人NOTOTO.の樫田那美紀氏は、能登半島での復興支援の経験から、災害時に女性、こども、障害者、性的少数者などの困難が見落とされる危険性を指摘した。
災害時には、避難生活の安全性やプライバシーの確保に加え、性暴力の被害を相談できる環境が問題となる。ただし、被災者の置かれた状況は一様ではなく、女性や性的少数者が全て同じ困難を経験するわけではない。避難所の構造、支援物資へのアクセス、相談窓口の周知など、具体的な生活環境を確認することが必要になる。
情報を知ることと権利を行使できること
街頭行動では、一般社団法人ソウレッジの金子絵美利氏らも加わったクロストークが行われ、本人が利用可能な選択肢を知っていても、経済的事情などによって実際には選択できない問題が議論された。
SRHRの保障では、正確な情報へのアクセスと、医療や相談などを利用するための条件整備を区別する必要がある。妊娠について相談できる窓口を知っていても、受診費用がない場合や、言語の違いによって十分な説明を受けられない場合には、本人の意思決定が制約されることがある。
ジョイセフは、今回の街頭行動で提起された課題を学習指導要領の改訂に向けた意見表明などにつなげるよう呼びかけている。包括的性教育の内容をどう制度化し、相談・医療支援へのアクセスをどう改善するかが、同団体の提起した課題を政策として検討する際の論点となる。
国際協力NGOジョイセフ「東京駅前でスタンディングアクション2026『#性教育をすべての人に』『#性暴力をなくそう』みんなで声をあげました」
URL:https://www.joicfp.or.jp/jpn/2026/10/16/59910/

