1.埼玉県がWEリーグ県内3クラブと「こどもの人権」をテーマに30秒の啓発動画を制作した
2.2025年度には同じ3クラブとインターネット上の人権侵害を扱っており、連携先を継続しながらテーマを変えている
3.スポーツ会場は行政の講演会とは異なる接点を持つが、動画の再生数と人権理解の変化は同じ成果ではない

埼玉県は2026年度、RB大宮アルディージャWOMEN、ちふれASエルフェン埼玉、三菱重工浦和レッズレディースのWEリーグ県内3クラブと連携し、「こどもの人権を守る力になろう」をテーマとする30秒の啓発動画を制作した。8月の「人権尊重社会をめざす県民運動強調月間」に合わせた取組で、県はスポーツを通じて子どもの人権について考える機会を設ける。
同じ枠組みは前年にも使われている。2025年度は同じ3クラブが出演し、「インターネットでもフェアプレー」をテーマとする30秒動画を制作。SNSなどインターネット上の誹謗中傷や人権侵害を扱い、大宮駅東口の大型ビジョンなどでも放映した。2026年度は連携するクラブを維持しつつ、主題をインターネット上の人権から子どもの人権へ変更した。単年度ごとに別の出演者を集める方式とは異なり、女子プロサッカー3クラブを継続的な啓発パートナーとして使っていることが分かる。
会場での取組も組み合わせている。6月6日には埼玉スタジアム2002で行われた試合に合わせ、人権啓発グッズを先着1,000人に配布し、アンケートや抽選企画を実施した。行政が庁舎や公共施設で開く講演会とは異なり、試合を見るために来場した人へ情報を届けるため、人権施策への関心が高い人だけを対象にしないという特徴がある。
ただし、30秒の動画で子どもの権利の全体像を説明することはできない。短時間の動画はテーマを知る入口であり、児童虐待、いじめ、意見表明、相談など個別の問題を学ぶ事業とは役割が違う。動画が何回再生されたか、会場で何人にグッズを配ったかという到達規模と、視聴者が子どもの人権について何を理解したかという結果も同じではない。埼玉県が会場でアンケートを組み合わせている点は、この二つを区別して把握する手掛かりになる。
2025年度の「インターネットでもフェアプレー」から2026年度の「こどもの人権を守る力になろう」へ、埼玉県はRB大宮アルディージャWOMEN、ちふれASエルフェン埼玉、三菱重工浦和レッズレディースとの連携を継続した。スポーツクラブを行政情報の発信先として繰り返し使う仕組みそのものが、今回の30秒動画だけでは見えない県施策の特徴となっている。
埼玉県「スポーツと連携した人権啓発」
URL:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0303/sport-renkei.html
埼玉県「スポーツと連携した人権啓発・2025年度」
URL:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0309/news/page/news20250731.html

