ロヒンギャ難民の慢性疾患に専門診療 世界の医療団が支援

この記事のポイント

1.世界の医療団が、ロヒンギャ難民キャンプに開設された非感染性疾患の専門診療所を支援している。
2.診療所では高血圧症や糖尿病の診察、投薬、血液検査、健康教育、運動療法を一体的に実施する。
3.人道支援の資金縮小が医療提供を圧迫する中、慢性疾患を継続して治療できる体制が課題となる。

ロヒンギャ難民キャンプでの非感染性疾患専門診療所を支援

認定NPO法人「世界の医療団」は2026年7月28日、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプで、現地NGOのPulse Bangladesh Society(パルス)が開設した非感染性疾患専門診療所への支援状況を公表した。世界の医療団とパルスは2021年から、高血圧症や糖尿病などの非感染性疾患(NCDs)を予防・管理するため、難民キャンプと周辺のホストコミュニティで健康教育や診療能力の向上に取り組んでいる。

専門診療所では、血圧と血糖値の測定、医師による診察、薬の処方に加え、血液検査などの生体検査、食事に関する健康教育、運動療法を行う。生化学分析装置を備え、運動指導に使う設備も併設した。世界の医療団によると、周辺の診療所には検査室がなく、健康教育や運動療法も行われていない施設があり、口コミを通じて専門診療所を訪れる患者が増えている。職員は定期会議で診療上の課題を共有し、患者数の増加への対応も協議している。

同団体は、これまでの活動を通じ、成人の約3割が高血圧症または糖尿病に罹患している可能性があると推測する。ただし、この数値は難民全体を対象とした疫学調査の結果ではなく、支援活動から得た推計として読む必要がある。世界保健機関(WHO)は2021年、コックスバザールの難民キャンプと周辺地域で、非感染性疾患に関する受診が累計72万件を超えたと報告した。高血圧症や糖尿病は継続的な検査、服薬、生活指導を要するため、一時的な診察だけでは重症化を防ぎにくい。

難民支援では感染症、負傷、妊産婦医療などの緊急対応が優先されやすく、長期的な治療が必要な慢性疾患は支援の空白に入りやすい。2025年には資金停止の影響を受け、ロヒンギャ難民キャンプの保健施設で閉鎖や診療能力の縮小が生じたとWHOが報告した。世界の医療団も、各国政府からの支援額が減り、一部のNGO診療所で運営が厳しくなっていると説明する。2026年の共同対応計画は、ロヒンギャ難民とバングラデシュの受入地域住民計160万人を支えるため、7億1,050万ドルの資金を掲げている。

避難を強いられた人にも、健康状態や在留資格にかかわらず、利用可能な医療へ継続してアクセスする権利がある。非感染性疾患の診療を途切れさせれば、合併症による入院や身体機能の低下につながり、患者本人だけでなく家族の生活にも負担が及ぶ。専門診療所に患者が集中する現状では、パルスが単独で受診者を抱え込むのではなく、周辺診療所との検査、紹介、投薬の連携を構築する必要がある。世界の医療団は、パルスの職員と課題を共有しながら、ロヒンギャ難民キャンプにおける非感染性疾患診療の質を維持する方針を示している。

出典

世界の医療団「ロヒンギャ難民キャンプでの非感染性疾患専門診療所を支援」
URL:https://www.mdm.or.jp/news/30527/

参考資料 世界保健機関「Cox’s Bazar: Towards a model district for NCD prevention and management in humanitarian settings」
URL:https://www.who.int/bangladesh/news/detail/26-09-2021-cox-s-bazar-towards-a-model-district-for-ncd-prevention-and-management-in-humanitarian-settings

参考資料 Rohingya Response「2026 Joint Response Plan」
URL:https://rohingyaresponse.org/project/2026-jrp/

人権ニュース編集部

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