1.NIJINアカデミーの児童生徒が、ZOZOと制服を共同制作するプロジェクトを始めた。
2.学校生活のつらい記憶と結び付いた制服を、自己表現や所属感を支える服へ捉え直す。
3.生徒自身の提案を起点とし、ZOZO社員との対話を重ねながらデザインを検討する。

株式会社NIJINが運営する小中高一貫のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」と株式会社ZOZOは、不登校を経験した児童生徒が主体となって制服を考える「制服プロジェクト」を始めた。2026年7月7日、千葉市のZOZO本社でキックオフイベントを開き、生徒と社員が制服に込める考えや今後の制作工程を話し合った。
企画は、NIJINアカデミーの生徒から出た「制服を作りたい」という提案を起点とする。同校によると、在校生の中には、いじめや学校生活でのつらい経験と制服の記憶が結び付き、制服を見ると当時の恐怖を思い出す人や、周囲と同じ服装に合わせる中で自分らしさを見失ったと感じる人がいる。ただし、公表資料には該当する生徒数や聞き取り方法は示されておらず、この経験を不登校児童生徒全体へ一般化することはできない。
キックオフでは、生徒がZOZO社内のアート作品やオフィスを見学し、社員との対話を通じてデザインに込めたい内容を整理した。中学生が社員や参加者の前で制服案を提案する場面も設けた。今後は、生徒の「自己表現」と「仲間がいる」という感覚を反映する制服を目指し、両者が対話とデザイン検討を続ける。現時点で完成時期、仕様、販売や着用の方法は公表されていない。
文部科学省の2024年度調査では、小中学校の不登校児童生徒は約35万4,000人、高校は約6万8,000人だった。同省は2024年8月、一定の要件を満たす場合、自宅や学校外の機関での学習成果を成績評価できることを法令上明確にした。2023年9月開校のNIJINアカデミーには、2026年7月時点で全国から900人以上が在籍するとしており、オンライン授業と企業・団体とのプロジェクト型学習を実施している。
児童の権利条約第12条は、子どもに影響する事項について、本人が自由に意見を表明する権利を定める。制服は学校への所属を示す服であると同時に、毎日の身体感覚や自己表現に関わる。大人が用意した選択肢への感想を聞くだけでなく、生徒自身の問題提起から制作を始めた点は、教育環境の決定過程へ子どもが参加する実践として捉えられる。
もっとも、制服の制作が不登校の原因や学校生活上の困難を解消するわけではない。いじめへの対応、学習機会の保障、心身の回復と、制服を通じた所属感の形成は別の課題である。NIJINアカデミーとZOZOのプロジェクトは今後、生徒の提案が最終的なデザインや着用方法へどのように反映されたかを示すことで、「生徒主体の共創」が制作過程だけで終わっていないかを検証できる。
株式会社NIJIN「不登校児童生徒が『制服』をZOZOと共創」
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000839.000099150.html
文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm
外務省「児童の権利に関する条約」
URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html

