1.三重県が8月19日、経営者・人事労務担当者向けのカスタマーハラスメント防止対策セミナーを開催する。
2.2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法によりカスハラ防止措置が事業主の義務となる。
3.従業員を保護する対応と、正当な苦情や障害者による合理的配慮の申出を区別する運用が課題となる。

三重県は2026年8月19日、県内事業者の経営者や人事労務担当者を対象に、カスタマーハラスメント防止対策セミナーを三重県総合文化センター男女共同参画棟(津市一身田上津部田)で開く。開催時間は午後1時から3時まで。会場とオンラインの併用で、定員は各30人の計60人、参加費は無料となる。会場参加者には終了後、1社30分、4社程度を対象とする個別相談会も設ける。
開催は、改正労働施策総合推進法に基づくカスタマーハラスメント防止措置が、同年10月1日から事業主の義務となることを受けたものだ。改正法は2025年6月11日に公布され、厚生労働省は2026年2月26日、事業主が講ずべき措置を示す防止指針を公布した。職場におけるカスタマーハラスメントは、顧客や取引先、施設利用者などによる言動で、業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するものと定義される。店舗での対面行為に限らず、電話やSNSなどインターネット上の言動も対象に含まれる。
セミナーでは、株式会社ナレッジリーンの古田あゆみ氏が講師を務める。「お客様を大切にすること」と「従業員を守ること」の両立を主題に、基礎知識、対策の難しさ、事例に基づく判断基準、事業者に義務付けられる防止措置、未然防止から初期対応、事後対応までを扱う。カスハラに該当するかどうかは、要求内容だけでなく、言動の態様、頻度、継続性、発生した経緯、労働者への影響などを踏まえて判断する必要があるため、現場任せでは対応が揺れやすい。経営者と人事労務部門が基準や報告経路を共有することが、施行前の実務課題となる。
人権上の論点は、従業員の安全と尊厳を守る措置を整えながら、正当な苦情や改善要求まで排除しないことにある。厚生労働省は、社会通念上許容される範囲の苦情はカスハラに当たらないと説明している。障害者が不当な差別的取扱いの是正を求めたり、社会的障壁の除去を申し出たりすること自体もカスハラではなく、事業者には障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供義務がある。利用者への一律の対応制限ではなく、言動の内容と手段を個別に確認する運用が欠かせない。
申し込みは専用フォーム、メール、ファクスで受け付ける。個別相談会は会場参加者のみが対象となる。三重県雇用経済部雇用対策課が進める今回のセミナーは、10月1日の義務化を前に、県内事業者が自社の方針、相談体制、現場対応を点検する機会となる。
三重県
URL:https://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0030700670.htm
厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
厚生労働省「あかるい職場応援団 カスタマーハラスメントとは」
URL:https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/harassment_list/customer-hara/

