新潟県立校いじめ重大事態、転学事案で調査結果公表

この記事のポイント

1.新潟県教育庁生徒指導課が、県立学校のいじめ重大事態調査報告書の概要を公表した。
2.調査委員会は、名前を用いたからかい発言と競技動作のまねをいじめと認定した。
3.報告書は、学校主導の全容解明、教室復帰への道筋、第三者委員会の早期活用を課題に挙げた。

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新潟県教育庁生徒指導課は令和8年7月6日、県立学校で令和7年9月に設置された「いじめ事案に関する重大事態調査委員会」の調査結果を公表した。公表期間は令和8年7月6日から令和9年1月5日まで。報告書概要は全10ページで、会議は非公開で行われた。調査委員は、法律分野の井之上彩弁護士と、教育分野の高橋知己・上越教育大学教授が担当した。

報告書によると、本事案は、県立学校に在籍していた対象生徒がいじめ被害を受け、のちに転学した事案である。いじめ防止対策推進法28条1項1号および2号に係る重大事態として調査が行われた。調査期間は令和7年9月18日から令和8年2月5日までで、聞き取りを含め調査委員会は計15回開催された。対象生徒本人、保護者、関係生徒、学校関係者、関係機関の担当者への聞き取りに加え、学校の記録や県教育委員会の支援処理簿なども参照された。

申立ての経緯としては、令和6年5月15日、対象生徒の保護者から学校に対し、同学年の複数生徒による言動で対象生徒が強い不快感を覚えているとの相談が寄せられた。翌朝には欠席連絡とともに、いじめへの対応を求める要望もあった。学校は関係生徒への聞き取りを行い、申立て内容をもとに本事案をいじめとして認知し、同月23日に県教育庁生徒指導課へ報告している。対象生徒は令和6年5月以降欠席が増え、令和6年度をもって転学した。

調査委員会は、対象生徒の名前を用いたからかい発言2件と、同じ部活動に所属する一部生徒による競技動作のまねを、いじめ防止対策推進法上の「いじめ」に該当すると判断した。一方、多目的教室での「謝るまね」については、関係生徒が行為自体を否定し、特定生徒による模倣と認定できる事実が確認できなかったため、いじめとしては認定していない。競技動作のまねについては、関係生徒側は競技力向上を目的としたものと説明したが、対象生徒が不快に感じていたこと、そして部活動中の行為が半年以上にわたり繰り返されていたことを踏まえ、心理的負担を与え得る行為と評価した。

学校対応については、報告書は初期段階の聞き取りや認知、保護者への連絡について一定の評価を示す一方、その後の追加調査が保護者からの指摘を受けて行われる場面があったことを挙げ、全容解明に向けた調査が学校主導で十分に進められたとは言い難いとしている。公欠の判断により出席日数上の不利益は生じなかったものの、対象生徒が教室復帰を希望していた状況を踏まえると、学習や学校生活への参加を見据えた検討が不足していた面も指摘された。

報告書が示す人権上の論点は、いじめの有無そのものにとどまらない。対象生徒が学校生活に参加する機会を失う一方で、関係生徒も自分の行為がどのような被害を生じさせたのかを十分に理解しないまま時間が経過した点に、問題の所在があるとしている。報告書は、関係生徒に強い悪質性があったとまでは評価できないとしつつも、受けた側が苦痛を感じた場合にいじめと認定されるという法の趣旨を、学校教育の中で計画的に扱う必要があると指摘する。いじめへの対応を個別教員の経験やその場の判断に委ねるのではなく、児童生徒の尊厳、学習機会、関係修復の手順を含む制度的な仕組みとして整えることが、今後の課題として残されている。

提言としては、初期段階における判断のあり方といじめに関する授業の実施、いじめ事案対応のシステム化・マニュアル化、そして第三者委員会の一層の活用が挙げられた。今回の第三者調査委員会の委員が委嘱されたのは、対象生徒の不登校が始まってから約1年半後のことだった。報告書は、令和6年5月以降に学校とのやり取りが不調に終わっていた時期の後、より早期に調査が行われていれば、転学に至らずに済んだ可能性にも言及している。新潟県教育庁生徒指導課と当該校には、今回示された初動対応、学習保障、第三者委員会の招集時期のあり方を、県立学校におけるいじめ対応の実務に反映していく作業が残されている。

出典

新潟県「県立学校いじめ事案に関する重大事態調査の結果について」
URL:https://www.pref.niigata.lg.jp/site/kyoiku/ijimechousa2.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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