1.日本の4省庁とウズベキスタン共和国内閣府附属移民庁は、育成就労制度に関する協力覚書に署名した。
2.覚書は、育成就労外国人の送出しと受入れに関する約束を定め、制度の適正な推進と本人保護を目的とする。
3.送出機関の認定基準には、保証金徴収、違約金契約、月額報酬2か月分超の費用徴収、人権侵害行為の禁止が盛り込まれた。

日本国法務省、外務省、厚生労働省、警察庁と、ウズベキスタン共和国内閣府附属移民庁は、育成就労制度に関する協力覚書(MOC)に署名した。覚書の和文仮訳によると、文書は英語で2通作成され、2026年5月20日に東京、同年6月29日にタシケントで署名された。協力は後の署名日から開始し、5年間続く。終了日の60日前までに延長しない旨の書面通告がない限り、自動的に5年間延長される。
育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消し、人材育成と人材確保を目的として令和9年4月から施行される制度である。今回の協力覚書は、日本とウズベキスタンの間で、育成就労外国人の送出しと受入れに関する約束を定め、二国間協力のもとで育成就労外国人を保護し、制度を適正に推進することを目的としている。対象は、育成就労の対象となるウズベキスタン国民である。
日本側は、ウズベキスタン移民庁から認定送出機関の情報を受領した場合に国内で公表し、認定送出機関以外の送出機関が送り出した育成就労外国人を受け入れないことを約束している。監理支援機関の許可基準、育成就労計画の認定基準、育成就労外国人の待遇基準に関する確認も含まれ、待遇の実態が提出書類と異なる場合には、育成就労計画の認定取消しを含む適切な措置を取るとした。
ウズベキスタン移民庁側は、募集過程や選考基準に関するガイドラインを準備し、送出機関を認定し、認定送出機関の名称などを公表する。認定送出機関が基準を満たさなくなった場合には、認定を取り消し、その理由と結果を日本側に通報する。日本側から不適切行為の通報を受けた場合には、当該送出機関を調査し、必要な指導監督を行い、結果を日本側に報告することも明記された。
人権上の論点は、送出し段階での費用負担、契約拘束、強制帰国をどう抑止するかにある。覚書の別添に掲げる送出機関の認定基準は、保証金徴収や財産管理、違約金を定める契約、育成就労計画に記載された報酬月額2か月分を超える費用徴収を禁じている。暴行、脅迫、自由の制限などの人権侵害行為も禁止され、妊娠、出産等を理由としたウズベキスタン共和国への強制送還、強制帰国は人権侵害に含まれると明記された。
育成就労外国人の待遇については、雇用契約を締結する前に、日本での労働条件等を本人が十分理解できるよう、対面またはオンラインで説明するとされた。日本国内で就労する間は、労働基準法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法その他の労働関係法令が適用され、日本人労働者と同じように保護される。妊娠、出産等を理由とした解雇等の不利益取扱いを禁止する法令上の扱いも、覚書の中で確認されている。
問題が生じた場合には、両者は協議し、行方不明の発生や不法滞在の育成就労外国人の送還を含め、関係省庁と連携して解決する。ウズベキスタン移民庁が送出機関に関する約束を適切に実施していない場合、日本側はウズベキスタン共和国から送り出される育成就労外国人の受入れを一時停止できる。日本側の約束が履行されていない場合には、ウズベキスタン移民庁が日本への送出しを一時停止できる仕組みも置かれた。
今回の協力覚書は、育成就労制度の開始を前に、送出国との間で募集、選考、費用、契約、待遇、監督、情報交換の枠組みを整えるものとなる。制度の実効性は、認定送出機関の公表や監理支援機関への監督だけでなく、育成就労外国人が労働条件、費用、相談先を理解できる運用にかかる。日本国法務省、外務省、厚生労働省、警察庁とウズベキスタン移民庁のMOCは、その出発点として、送出し段階の不当な費用徴収と人権侵害を明示的に規制対象に含めた。
厚生労働省「育成就労に関する二国間取決め(協力覚書)」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000180648_00012.html
厚生労働省「日本国法務省、外務省、厚生労働省、警察庁とウズベキスタン共和国内閣府附属移民庁との間の育成就労制度に関する協力覚書(和文仮訳)」
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001716817.pdf
厚生労働省「外国人育成就労制度について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/index_00029.html

