練馬区、障害児者の居場所事業開始 朝・夕方の支援空白を補完

この記事のポイント

1.練馬区は、学校の長期休暇中の朝と、障害福祉サービス終了後の夕方に居場所を提供する事業を始める。
2.障害児の事業は2026年7月下旬、成人の障害者を対象とする事業は同年9月の開始を予定している。
3.事業所への人件費補助により、障害児者の地域参加と家族の就労継続を支える一方、本人がどう過ごしたいかを反映する運営も課題となる。

練馬区のロゴ

練馬区は2026年6月16日、障害のある子どもと成人が、既存の福祉サービスでは対応しにくい時間帯に安心して過ごせる「居場所づくり促進事業」を開始すると公表した。放課後等デイサービスや障害福祉サービス事業所などが居場所を提供する場合に、区が人件費等を補助する。障害児を対象とする事業は7月下旬、成人の障害者を対象とする事業は9月の開始を予定する。目的には、障害児者の社会参加と、保護者や家族の就労継続支援を掲げた。

障害児の事業が対象とするのは、夏休みなど学校の長期休暇中に生じる朝の時間帯だ。学校がある日は午前8時ごろから登校できるが、長期休暇中の放課後等デイサービスは午前10時以降に始まる場合がある。練馬区は、午前8時からサービス開始までの居場所を提供する事業所に対し、利用者1人1日当たり7,500円を基本額として補助する。看護師等の配置、送迎、延長支援には加算を設け、定員と職員配置の基準も定める。放課後等デイサービスは児童福祉法に基づき、授業終了後や休業日に発達支援や社会との交流を提供する制度だが、今回の区事業は、その提供時間外に生じる生活上の空白を区独自の補助で埋める仕組みとなる。

成人向け事業では、就労継続支援事業所や生活介護事業所の利用を終える午後3時30分から4時ごろ以降、午後6時ごろまでの居場所を想定する。特別支援学校在学中には放課後等デイサービスを利用できても、卒業後は夕方の行き先がなくなり、家族の終業前に本人が帰宅する例があるためだ。補助基本額は利用者1人1日当たり、障害支援区分5以上相当では4時間未満9,000円、4時間以上1万2,000円。区分4以下相当では、それぞれ4,500円と6,000円とした。看護師等の配置や送迎にも加算する。

類似する制度として、川崎市は「日中一時支援事業」で障害児者の日中活動の場を確保し、本人と家族の福祉向上を図っている。これに対し、練馬区の新事業は、長期休暇中の午前8時から10時までと、日中活動系サービス終了後から午後6時ごろまでという具体的な時間帯を示し、事業者へ利用者数や障害の程度に応じた補助を行う点に特徴がある。家庭だけに支援の空白を負わせず、既存事業所の人員と設備を地域資源として活用する設計といえる。

障害者基本法は、障害者が地域で共生し、社会のあらゆる分野に参加できる機会の確保を基本原則としている。居場所事業も、家族が働くための「預かり」に限定すれば、本人の生活や意思が後景に退く。利用者が休息、交流、余暇活動などから過ごし方を選べるか、医療的ケアや行動面の支援が必要な人も利用できるかを、事業開始後に検証する必要がある。練馬区は補助対象事業所を区ホームページで公開するとしており、所在地、利用時間、対象者、送迎や看護師配置の有無まで分かる形で示すことが、7月下旬と9月から始まる事業を実際の利用につなげる条件となる。

出典

練馬区「障害児者の『居場所づくり促進事業』を開始します」
URL:https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/koho/hodo/r8/r806/20260616.files/20260616.pdf

厚生労働省「障害児通所支援について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000811090.pdf

内閣府「障害者基本法」
URL:https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/s45-84.html

川崎市「日中一時支援事業(障害児・者一時預かり)」
URL:https://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000097842.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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