1.鹿児島県が12月28日、「鹿児島県いじめ問題子どもサミット」を県庁で開催し、オンライン視聴も予定している。
2.2025年度は小中高校生411人が参加し、302人がオンライン参加、9校がいじめ防止の実践を発表した。
3.子どもの意見をいじめ対策へ取り入れることと、いじめを防止・解決する責任を子どもへ負わせることは異なり、学校・設置者の法的責任は維持される。

前年度は411人、9校が取組を発表
鹿児島県は12月28日午後1時から4時30分まで、県庁2階講堂で「鹿児島県いじめ問題子どもサミット」を開催する。オンラインによる視聴も予定し、申込フォームなどの詳細は11月下旬ごろに公表するとしている。県は、子ども自身がいじめについて考え、各学校の取組を共有し、いじめ防止につなげる事業として継続している。
2025年12月26日のサミットには小学校、中学校、高校から411人が参加し、このうち302人がオンラインだった。9校が学校独自のいじめ防止活動を発表したほか、LINEなどインターネット上のコミュニケーションを題材とする動画を使ったグループ討議を実施した。県内全域から参加しやすいようオンラインを併用していることも、この事業の特徴となっている。
子どもの意見を聞くことは「解決責任を負わせること」ではない
こども基本法は、こどもが自分に直接関係する事項について意見を表明する機会を確保し、その意見を年齢や発達に応じて尊重することを基本理念としている。国や自治体がこども施策を策定、実施、評価する際には、こどもの意見を反映させるための措置も必要になる。いじめ対策について、実際に学校生活を送る児童・生徒の経験を聞くことには制度上の根拠がある。
ただし、県の説明にある「自分たちの手でいじめをゼロに」という趣旨を、子ども側への責任転嫁として運用してはならない。いじめ防止対策推進法は、国、地方公共団体、学校設置者、学校・教職員それぞれに責務を定めている。被害を受けた児童が自分で周囲に働きかけなかったから解決できなかった、同級生が止めなかったから長期化した、といった形で学校側の責任を薄めることは制度の趣旨と異なる。
「代表児童の意見」だけで終わらせない
子どもの参加を実質化する上では、発表が得意な児童・生徒や学校から推薦された代表者の意見だけを「子どもの声」と扱わないことも重要になる。いじめを現在受けている子、集団の場で発言したくない子、学校側と異なる意見を持つ子もいる。意見表明の権利には、安心して話せることと同時に、話すことを強制されないことも含まれる。
サミットで出た提案を学校が持ち帰り、相談方法、校内ルール、教員の初期対応、SNS上のトラブルへの教育などにどう反映するかまで進んで初めて、子どもの参加が施策へつながる。参加人数だけでは、意見が実際に尊重されたかは分からない。
子どもの参加と大人の責任を同時に
いじめ防止では、子ども自身の発案による活動と、教職員や教育委員会による安全確保の双方が必要になる。子どもを「守られるだけの存在」とせず、学校づくりに参加する主体として扱う一方、被害を受けた子に解決役を担わせない。この線引きが、子どもの権利を基盤とする参加の前提となる。
12月28日の鹿児島県いじめ問題子どもサミットでは、参加した児童・生徒が何を提案したかだけでなく、その意見を県や各学校が2027年度以降の具体的な対応にどう反映したかまで継続して確認することで、子どもの意見表明をイベントで終わらせない仕組みとなる。
鹿児島県「鹿児島県いじめ問題子どもサミット」
URL: https://www.pref.kagoshima.jp/ba05/ijimebousi.html
文部科学省「いじめ防止対策推進法」
URL: https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337278.htm

