山形県、孤独・孤立対策で「社会的処方」 つながりを強制しない支援へ

スポンサーリンク
スポンサーリンク
この記事のポイント

1.山形県が10月28日、山形市の遊学館で孤独・孤立対策セミナーを開催し、「社会的処方」とコミュニティナースを取り上げる。
2.県は2025年4月に「やまがたつながり支えあいネットワーク」を設置し、行政、医療、福祉、地域活動などの連携を進めている。
3.人を地域活動へ「つなぐ」だけでは解決せず、交通、費用、障害、介護、貧困など参加を妨げる条件と、本人がつながりを望むかという意思の尊重も必要になる。

山形県孤独・孤立対策セミナー
スポンサーリンク
スポンサーリンク

医療と地域を結ぶ「社会的処方」

山形県は10月28日午後1時30分から4時まで、山形市の遊学館ホールで「孤独・孤立対策セミナー」を開催する。県地域福祉推進課による県内の状況説明に続き、川崎市立井田病院腫瘍内科部長で一般社団法人プラスケア代表理事の西智弘氏が「社会的処方~地域とのつながりで元気になる方法」をテーマに講演する。後半はコミュニティナースの猪股晃博氏が基礎講座を担当する。会場定員は100人、オンラインは200人で、参加無料。申し込みは10月21日までとなっている。

社会的処方は、医療機関が患者の症状だけを見るのではなく、生活上の困難や社会とのつながりにも目を向け、地域の活動、相談支援、居場所などにつなぐ考え方である。山形県は2025年4月、行政機関や民間団体の連携を図る「やまがたつながり支えあいネットワーク」を設置しており、今回のセミナーも地域の支援資源を横につなぐ取組の一つとなる。

孤独と孤立は同じではない

孤独は本人が「孤独だ」と感じる主観的な状態、孤立は人との接触や支援関係が乏しい社会的な状態として区別して考える必要がある。独りで過ごすことを好み苦痛を感じていない人まで「孤立しているから地域参加させるべきだ」と扱えば、本人の生活の選択に過度に介入することになる。一方、多くの人と接触していても、誰にも相談できず強い孤独を感じる人はいる。

孤独・孤立対策推進法は2024年4月に施行され、国、地方公共団体、民間団体などの連携を制度的に進めている。2026年7月には政府の重点計画も改定された。対策の目的は、特定の生き方を標準として人をそこへ合わせることではなく、本人が望まない孤独や支援からの孤立によって深刻な不利益を受けることを防ぐ点にある。

「つなぐ先」に行けない人もいる

社会的処方では、地域のサロン、文化活動、ボランティア、福祉サービスなどへの紹介が考えられる。しかし、紹介先が存在するだけで利用できるとは限らない。車を運転できない地域で交通手段がない、参加費を負担できない、身体・精神・発達上の障害に配慮した環境がない、家族の介護や育児で外出できない、オンライン情報へアクセスできないなど、本人の意欲とは別の障壁があり得る。

貧困や住居不安など生活基盤そのものに問題がある場合、「地域の人と交流しましょう」という働きかけだけでは原因に届かない。医療や福祉の専門職が本人を地域活動へ紹介した後、その場所を実際に利用できたか、必要な公的支援につながったか、途中で利用をやめた理由は何だったかまで確認しなければ、紹介件数だけが増えて支援が届かない事態も起こり得る。

「つながらない自由」も含めた支援へ

人とのつながりには大きな価値がある一方、交流の量を増やすこと自体を行政目標にすると、独りで過ごす選択まで問題視される危険がある。支援者側が考える「望ましい地域参加」より、本人が何に困り、どのような関係を望んでいるかを起点とする必要がある。

10月28日の山形県セミナーでは社会的処方とコミュニティナースが取り上げられる。今後の「やまがたつながり支えあいネットワーク」では、何人を地域活動へつないだかだけでなく、交通、費用、障害など利用上の障壁を減らせたか、本人が望む支援につながったかまで検証することで、孤独・孤立対策の実効性がより具体的に見えてくる。

出典

山形県「孤独・孤立対策セミナーを開催します」
URL: https://www.pref.yamagata.jp/090014/kenfuku/chihuku/press_r8_seminar.html

内閣府「孤独・孤立対策重点計画」
URL: https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/jutenkeikaku.html

関連用語
スポンサーリンク
スポンサーリンク
人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、裁判所、企業、公益団体、国際機関などが公表する一次情報を確認し、差別、子ども、障害者、高齢者、教育、福祉、司法・制度、外国人、ビジネスと人権などに関するニュース、制度解説、独自調査を発信しています。記事では出典を明示し、事実関係を確認したうえで、関連する法制度や統計、過去の経緯などを参照しながら、人権上の論点や社会的背景を整理しています。

人権ニュース編集部をフォローする
日本福祉
シェアする
タイトルとURLをコピーしました