警察職員の懲戒155人、前年同期超え 業務上の非違55人

この記事のポイント

1 2026年上半期に懲戒処分を受けた全国の警察職員は155人で、前年同期より1人増えた。
2 「異性関係」が43人で最多となる一方、被疑者事故や公文書偽造・証拠隠滅など業務上の事由が増えた。
3 警察の権限行使に関わる非違行為については、処分人数だけでなく原因と再発防止策の検証が必要となる。

懲戒処分のイメージ図

警察庁は2026年7月23日、同年1月から6月までに懲戒処分を受けた全国の警察職員が155人だったと公表した。前年同期の154人から1人増え、2024年上半期の114人と比べると41人多い。処分別では免職22人、停職43人、減給72人、戒告18人。前年同期との比較では免職が2人、減給が5人、戒告が2人増え、停職は8人減った。

主たる事由では「異性関係」が43人で最も多く、「交通事故・違反」23人、「窃盗・詐欺・横領等」21人、「職務放棄・懈怠等」15人、「公文書偽造・毀棄、証拠隠滅等」11人と続いた。「異性関係」は前年同期より3人、「窃盗・詐欺・横領等」は15人減った。これに対し、「被疑者事故等」は10人で9人増、「公文書偽造・毀棄、証拠隠滅等」は4人増となった。処分者の合計はほぼ横ばいだが、事由別の構成には変化がある。

警察庁資料の区分と前年同期比から計算すると、職務放棄、被疑者事故、職権濫用、公文書や証拠の不適切な取扱いなど、業務上の事由による処分者は55人だった。前年同期の34人から21人増えた計算になる。暴行・傷害、窃盗・詐欺、交通違反、異性関係など私生活上の事由は100人で、前年同期の120人から20人減った。2024年上半期は業務上23人、私生活上91人だったため、2年間で業務上の処分者は32人増えている。なお、この統計は処分を受けた職員数であり、非違事案の件数や刑事責任の有無を直接示すものではない。

警察職員は、逮捕、捜索、留置、取調べ、証拠管理など、市民の身体の自由や刑事手続に直接関わる権限を行使する。「警察職員の職務倫理及び服務に関する規則」は、職務倫理の基本として「人権を尊重し、公正かつ親切に職務を執行すること」を明記し、権限の濫用も禁じている。このため、被疑者事故、職権濫用、公文書偽造、証拠隠滅などの増加は、一般的な服務規律の問題とは区別して検証する必要がある。

今回の公表資料は、処分人数と事由別の集計が中心で、被害者の有無、発覚の経緯、組織的な原因、講じられた再発防止策までは示していない。「異性関係」という包括的な区分についても、行為の性質や被害者との関係を統計から把握することはできない。警察庁と各都道府県警察は、関係者のプライバシーを保護しながら、権限行使に関わる非違行為の原因と監督体制を具体的に検証する必要がある。前年同期から21人増えた業務上の懲戒処分を、警察庁が監察や職務倫理教育にどう反映するかが問われる。

出典

警察庁「令和8年上半期の懲戒処分者数について」、e-Gov法令検索「警察職員の職務倫理及び服務に関する規則」
URL:https://www.npa.go.jp/news/release/2026/20260709001.html
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/412M50400000001/

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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