性暴力相談、面談の35.7%が18歳未満 支援員は3年で180人減

この記事のポイント

1.全国52か所のワンストップ支援センターで、2025年6月から8月までに電話相談1万2,541件、面談1,868件が受け付けられた
2.面談につながった被害者の35.7%は被害時に18歳未満で、90.2%のセンターがオンラインで知り合った人物からの被害相談の増加を感じていた
3.相談員は2022年度の928人から748人へ減り、208人が無給または交通費程度の処遇で支援を担っていた

男女共同参画局

内閣府男女共同参画局は2026年7月31日、「令和7年度性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象とした支援状況等調査」の報告書を公表した。調査は全国52か所のセンターを対象とし、2025年6月1日から8月31日までに受け付けた相談と支援の内容を集計した。3か月間の延べ件数は、電話相談1万2,541件、面談1,868件、メール相談1,494件、SNS相談434件。面談を利用した実人数は1,003人で、このうち新規相談者は572人だった。同じ人が複数回相談した場合は、その都度1件として数えるため、電話相談などの延べ件数を被害者数や被害事件数と読み替えることはできない。この調査が示すのは、日本で発生した性被害全体の規模ではなく、ワンストップ支援センターにつながった相談の内容と、センターが実施できた支援の状況である。2024年度に調査票が大幅に見直され、過年度と定義や選択項目が異なる部分もあるため、時系列比較は比較可能な項目に限られる。

被害時の年齢が18歳未満だった割合は、電話相談で23.1%、面談で35.7%に達した。18歳未満を細分化すると、電話相談、面談ともに13歳から15歳までの中学生年代が最も多い。面談では小学生年代が12.1%、中学生年代が13.0%、16歳と17歳が8.0%を占めた。ただし、電話相談では被害時の年齢が不明のケースが26.7%あり、年齢構成には把握できていない部分が残る。最初に電話をかけた人は被害者本人が56.3%だったが、親も20.6%を占め、低年齢の被害では保護者が異変に気づいて相談につなぐ経路が少なくない。被害から相談までの時間は二つに分かれた。電話相談では「1年以上」が16.6%で「72時間以内」の14.2%を上回り、「1年以上」のうち8.5%は被害からおおむね10年以上が経過していた。面談では72時間以内が18.9%、1年以上が17.3%だった。緊急避妊、証拠採取、性感染症検査などを伴う急性期支援と、幼少期や過去の被害による心理的影響を扱う中長期支援が、同じ相談窓口に並行して持ち込まれている。

相談された被害類型では、「同意のない性交等」が電話相談の41.0%、面談の49.0%を占め、「同意のないわいせつ行為」はそれぞれ22.8%、28.4%だった。被害に付随する情報では、避妊のない性交が電話相談の19.3%、面談の26.5%、SNSやゲームなどの通信サービスを用いた性暴力がそれぞれ10.1%、9.4%となった。加害者との関係は、友人・知人が電話相談の17.9%、面談の24.6%で最も多く、面談では職場やアルバイト先の雇用主、上司、取引相手、客などが11.0%、インターネットを介して知り合った人が10.2%を占めた。性暴力は「まったく知らない人物から受ける犯罪」に限られず、学校、職場、家庭、交際関係、オンライン上の人間関係など、被害者が日常生活を送る場で発生している。なお、ここでいう「同意のない性交等」は相談内容を分類するための項目であり、個別事案について刑法上の不同意性交等罪が成立したことを示す数字ではない。調査対象となった面談者のうち、センターへの相談前に警察へ相談していた人は34.6%、センター相談後に警察へ相談した人は20.8%、警察に相談していない人は30.5%だった。センターは警察への通報を前提とする機関ではないが、被害者の意思を確認しながら警察、医療機関、弁護士へつなぐ役割を担っている。

今回の調査で特に鮮明になったのは、子どもの被害とデジタル性暴力が重なっていることである。各センターがこの3年程度の変化として認識している項目では、90.2%が「SNS等オンラインで知り合った人物からの被害相談の増加」、76.5%が「被害者の低年齢化」、74.5%が「性的画像・映像等に関する被害相談の増加」を挙げた。これは性被害の発生件数を直接測定した割合ではなく、51センターの相談現場における認識を集計したものである。それでも、複数の地域で共通する支援上の変化を示す結果といえる。ヒアリングでは、マッチングアプリやSNSで知り合った相手から性交被害を受ける事案、ビデオ通話中の裸の画面を保存されて拡散を脅されるセクストーション、仲間内で性的画像を共有される被害が報告された。相手が通称や架空の氏名を使っている場合は加害者の特定が難しく、刑事手続や損害賠償請求、画像削除へ進みにくい。画像が複製されている場合、特定の投稿を削除しても別のアカウントや端末に残るため、被害が継続する不安も生じる。これに対し、センターでSNS相談を実施している割合は15.4%にとどまった。国はSNS相談「Cure time」を運営しているが、オンラインで相談を受けた後、地域で医療、警察、心理支援へつなぐ体制は、各都道府県の人員や専門機関の状況に左右される。

「ワンストップ」という名称は、すべての処置を同じ建物内で完結させるという意味ではない。内閣府は、被害直後からの医療的支援、法的支援、心理的支援などを可能な限り1か所で提供し、または必要な機関へ接続するセンターと説明している。調査期間中に行われた支援は、医療的支援1,391件、心理的支援545件、法的支援1,237件、生活支援86件だった。医療的支援では医療機関への同行・付き添いが30.7%、性感染症検査が19.5%、医療機関の予約が16.5%を占めた。心理的支援ではセンター内の臨床心理士・公認心理師によるカウンセリングが36.7%、法的支援では弁護士への紹介・接続が25.6%だった。これに対し、転居、福祉制度、経済的困窮、行政手続などに関係する生活支援は86件にとどまり、報告書もワンストップ支援センターではあまり実施されていないと分析した。被害後の回復には診察や法律相談だけでなく、安全な住居、就学・就労の調整、家族支援、継続的な心理ケアが関係するため、生活支援の少なさはセンター単独で対応できる範囲の限界を示している。

地域連携にも、支援対象と連携先の間に隔たりがみられた。51センターが挙げた協力医療機関は合計1,551機関で、1センター当たり平均30.4機関と2022年度より増えた。しかし、そのうち産婦人科は1,306機関だったのに対し、精神科・心療内科は255機関、小児科は全国で16機関、泌尿器科は41機関、肛門外科は8機関だった。子どもや男性の相談が増えても、必要な診療科が地域内にない、対応できる医師がいない、産婦人科を拠点とする施設には男性が入りにくいという問題が残る。関係機関との会議でも、警察は定期会議の19.2%、ケース検討会議の27.4%を占めたが、学校・教育委員会はそれぞれ3.8%と2.4%、小児科の医師・看護師は4.5%と1.1%だった。18歳未満の被害が面談の3分の1を超える状況に対して、学校、小児医療、児童相談所との日常的な連携は十分に広がっていない。報告書では、障害特性があると思われる人、日本語以外を第一言語とする人、男性、性的マイノリティーへの対応についても、コミュニケーション方法、通訳費用、専門医療、相談場所の確保が課題として挙げられた。

支援の基盤となる人材は縮小している。相談員の実人数は2019年度の945人から2022年度の928人へ微減した後、2025年度には748人まで減った。748人のうち最低賃金以上の処遇だった人は525人で、208人は無給または交通費程度だった。コーディネーターやスーパーバイザーにも、無給または交通費程度で働く人がいる。支援員確保の課題として65.4%のセンターが「なり手が少ない」、44.2%が「経験年数の長い支援員が少ない」、48.1%が「待遇が業務内容に見合っていない」と回答した。夜間・休日の対応では59.6%が支援員の確保を課題に挙げている。政府の「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」は、2023年度から2025年度までを集中強化期間とし、24時間365日の相談対応、コーディネーターの配置、地域連携、支援員の処遇改善を掲げてきた。ただし、夜間に電話を受け付けることと、急性期の診察、証拠採取、警察・病院への同行を夜間に実施できることは同じではない。内閣府と都道府県が、全国共通番号「#8891」の周知に加え、常勤支援員、夜間休日の直接支援、小児科・精神科・泌尿器科との協力、デジタル性暴力への専門的な連携を具体的に確保できるかが、相談の入口から被害者の回復までを切れ目なくつなぐ条件となる。

出典

内閣府男女共同参画局「『性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象とした支援状況等調査』報告書(令和7年度)」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/r080731_houkoku.html

内閣府男女共同参画局「令和7年度性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象とした支援状況等調査報告書」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/pdf/r080731_houkoku/01.pdf

内閣府男女共同参画局「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象とした支援状況等調査報告書(概要)」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/pdf/r080731_houkoku/02.pdf

内閣府男女共同参画局「性犯罪・性暴力被害者への支援」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/ouen/safe/victim/

性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/pdf/kyouka_02.pdf

人権ニュース編集部

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