1.福岡県は5月22日、「こどもの権利啓発教材」を作成したと公表した。
2.教材は「聴く」ことを軸に、こどもの意見表明を大人がどう受け止めるかを整理している。
3.学校、保育所、幼稚園、放課後児童クラブ、こども食堂などでの研修教材として活用を想定する。

福岡県福祉こども政策部こども未来課は5月22日、こどもが生活の中で自分の意見を言える環境づくりを進めるため、「こどもの権利啓発教材」を作成したと公表した。令和7年3月に策定した「福岡県こども計画」に基づく取組で、こどもを権利の主体として捉え、意見表明の機会を確保することを狙いとする。
教材は、啓発テキスト「『聴く』からはじめるこどもの権利」と、啓発動画「こどもの声聴いていますか」で構成する。テキストは、こどもの権利条約の「4つの原則」や、こどもの意見を聴くために大切にしたいこと、身近な対応例、こどもの声やサインへの応答などを扱う。動画は5分42秒で、大人が「良かれ」と思って行う対応が、無意識のうちにこどもの気持ちを置き去りにしていないかを問いかける内容としている。
今回の教材で特徴的なのは、「こどもの権利」を抽象的な理念として説明するだけでなく、大人側の聞き方を具体的に示している点である。テキストでは、こどもが話しやすい環境を整えること、言葉だけでなく表情・態度・声の調子などのサインを読み取ること、こどもの思いを受け止めた上で一緒に考えることを挙げる。大人がこどもを説得するのではなく、対話する姿勢を取るという整理は、教育・福祉の現場でそのまま使いやすい。
発達段階に応じた聴き方も示された。乳児期は、泣く、笑う、指をさす、体を動かす、視線を向けるといった非言語的なサインを読み取ることが重視される。幼児期前期では、複数の選択肢を示してこどもが選べるようにする方法を紹介し、幼児期後期では気持ちを表すカードや絵を使う工夫を挙げる。学童期以降については、「どうしたいの」と主体性を引き出す問いかけ、一対一で話せる機会、意見箱やアンケートの活用が例示されている。
人権上の論点は、こどもの意見を「聞いたことにする」対応で終わらせない点にある。児童の権利に関する条約は、日本も1994年に批准しており、こどもの意見の尊重は主要な原則の一つである。こども施策では、大人が保護する対象としてだけでなく、本人の思いや意向を持つ主体として扱うことが問われる。福岡県の教材は、この原則を学校や地域活動の場面に落とし込み、こどもの声を受け止める手順として示したものといえる。
県は、教材と動画を福岡県ホームページ、福岡県こどもまんなかポータルサイト、YouTubeで公開する。活用先として、小・中学校・高等学校の教職員、保育所・幼稚園、放課後児童クラブ、こども食堂の関係者などを挙げ、定期的な研修や、こどもの権利をテーマとしたセミナーでの利用を想定している。こども未来課の教材は、こどもと関わる大人が日常の声かけや相談対応を見直すための実務資料として使われることになる。
福岡県「こどもが意見を言える環境づくりを進めるため、『こどもの権利啓発教材』を作成しました!」
URL: https://www.pref.fukuoka.lg.jp/press-release/kodomonokenri-kisya.html

