1.横浜市が2025年度に調査を終えたいじめ重大事態82件を集約公表
2.重大な被害21件、長期欠席32件、両方に該当29件と整理
3.約3割にSNSが関係し、情報管理システムの検知機能を強化

横浜市教育委員会は2026年8月4日、2025年度中に調査を終えたいじめ重大事態82件の実施状況を集約して公表した。内訳は、心身や財産に重大な被害が生じた疑いのある事案が21件、相当期間の欠席を余儀なくされた疑いのある事案が32件、両方に該当する事案が29件だった。82件のうち1件は2026年3月に個別の調査報告書を公表している。
学校種別では小学校43件、中学校28件、高校3件で、児童生徒や保護者の意向により学校種を明らかにしなかった事案が8件あった。いじめ防止対策推進法の重大事態調査は、被害や長期欠席が確定した後だけに行う手続ではない。重大な被害や相当期間の欠席が「疑われる」ときに調査を始め、事実関係を明らかにして本人への支援と再発防止へつなげる仕組みである。横浜市は学校と教育委員会事務局が連携し、被害を受けた児童生徒と保護者の意向を確認しながら調査した。
今回の集約公表は、個別事案の詳細を全面的に示す方式ではなく、前年度に終了した調査から共通する状況や再発防止策を整理するものだ。市は2017年12月から公表ガイドラインを運用し、2025年2月の改定を受けて同年3月1日から新たな基準を適用している。集約案件は上半期中にまとめて公開し、公表期間はおおむね6か月とする。被害を受けた児童生徒のプライバシーや意向を守りながら、学校と教育行政の対応を外部から検証できる情報をどこまで示すかが制度上の論点となる。
公表事案の約3割にはSNSが関係していた。学校内の対面関係だけでなく、家庭や教職員から見えにくいオンライン上のやり取りが被害の継続や拡散につながり得るため、市は情報リテラシー教育を再発防止策に含めた。初期段階で周囲への確認を望まない児童生徒もいたといい、調査を急ぐことと、本人の不安を増幅させないことを両立させる対応が課題となる。
2026年度は、初期段階のヒアリングシート、専門家の活用に加え、学校と教育委員会が情報を一元管理する「いじめ対応情報管理システム」で、重大事態に関連し得るキーワードの抽出や欠席状況のスクリーニング機能を充実させる。横浜市教育委員会は「横浜子ども会議」と「横浜市いじめ防止市民フォーラム」も継続し、82件の調査から得た知見を各校の初期対応と再発防止に反映する。
横浜市「令和7年度いじめ防止対策推進法に基づく重大事態調査の実施状況について」
URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/kyoiku/2026/0804-R7shuuyaku.html

