
兵庫県は、犯罪被害者等支援に係るワンストップ窓口の令和7年度運営状況を公表した。県は、犯罪被害全般に対応する「兵庫県犯罪被害者等総合相談窓口」と、性犯罪・性暴力被害者の支援に特化した「ひょうご性被害ケアセンター『よりそい』」を設置している。総合相談窓口は令和5年10月2日に開設され、令和7年度は86件の相談に対応した。被害種類別では、財産被害が23件、暴行・傷害が18件、殺人が4件、性被害が2件で、その他の相談も39件あった。
「よりそい」は、平成29年4月1日に開設された性犯罪・性暴力被害者のための専用相談窓口である。令和7年度の相談件数は1,402件で、前年度の875件から大きく増加した。被害種類別では、不同意性交398件、不同意わいせつ224件、痴漢などその他の被害253件、DV・ストーカー97件などが示されている。被害者性別では女性が1,113件で79.4%を占める一方、男性も211件、15.0%となっており、性暴力被害を女性だけの問題として捉えない視点も必要である。
同センターは、電話相談や面接助言に加え、心理や法律の専門家による相談・助言、警察・医療機関への同行支援などをワンストップで行う。令和7年度の直接支援は58件で、面接助言15件、心理相談11件、法律相談13件、同行支援10件、代理傍聴9件だった。警察に届けにくい事案や、発生から時間が経過した事案にも対応している点は、被害が潜在化しやすい性犯罪・性暴力支援において重要な意味を持つ。内閣府も、全国の性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターについて、医療、法律などの総合的な支援につなぐ相談窓口として位置付けている。
犯罪被害者等支援では、事件そのものによる被害に加え、精神的負担、生活の変化、裁判対応、転居、就労、家族関係、周囲の無理解による二次被害などが問題となる。警察庁の資料でも、犯罪被害者等には刑事手続だけでなく、転居、金銭、雇用などを含めて相談できる総合的な窓口が必要だとされている。兵庫県が2つの窓口を設け、被害内容に応じて心理相談、法律相談、関係機関への調整につなげていることは、被害者を一つの制度だけで支えるのではなく、生活全体の回復を支える仕組みとして評価できる。
県は、児童・生徒向け及び教職員向けに、性犯罪に関する出前講座やケーススタディを交えた「よりそい授業」も実施しており、令和7年度は6回開催し、257人の教職員が参加した。相談窓口の運営状況を公表することは、支援の実績を可視化するだけでなく、学校、福祉、医療、司法、地域団体が被害者支援を自分たちの業務と結び付けて考える契機となる。性犯罪・性暴力や犯罪被害は、被害者が声を上げにくい課題であるからこそ、相談先の周知、秘密保持への信頼、二次被害を防ぐ対応の徹底が、今後の支援体制の実効性を左右する。

