1.ファンケルと兵庫県網膜色素変性症協会が、視覚障がいのある人を対象とするメイクセミナーを神戸市内で初めて共催した。
2.手や指の感覚を使うメイク方法や、化粧品を触って識別できる「タッチマークシール」を紹介した。
3.外見を整えることを義務づけるのではなく、本人が装うかどうかを選び、自分の方法で実行できる環境づくりが論点となる。

株式会社ファンケルと兵庫県網膜色素変性症協会(JRPS兵庫)は2026年5月29日、視覚障がいのある人を対象とするメイクセミナーを神戸市内で開いた。両者による共催は初めてで、7人が参加した。「見えなくなってもおしゃれを楽しみたい」「メイクの基本を学びたい」という参加者の思いを出発点に、スタッフやガイドヘルパーの支援を受けながら、自分の手でメイクを仕上げる方法を学んだ。
講座では、手のひらで化粧液や乳液をなじませ、肌の状態を確かめるスキンケアから始めた。ベースメイクにはBBクリームを使い、アイカラーなどのポイントメイクはブラシやチップではなく、塗る位置を指で確認しながら仕上げた。参加者からは、アイメイクを自分でできたことや、初めてポイントメイクに挑戦できたことへの感想が寄せられた。化粧を「してもらう」サービスにとどめず、講座後も本人が再現できる技術を伝えた点が特徴となる。
会場では、化粧品容器を触って区別するための「タッチマークシール」も使った。凹凸の異なるマークを容器に貼り、点字を読めない人でも指先で商品を識別できるようにしたもので、ファンケルの視覚障がいのある従業員も開発に携わった。似た形状の容器が並ぶ化粧品では、商品名を読めるかどうかだけでなく、使用する段階で取り違えずに選べる設計が利用の可否を左右する。
ファンケルは1988年から高齢者や障がいのある人などを対象とするセミナーを実施し、視覚障がい者向けの取組は2013年に始めた。2024年度には視覚障がい者向けセミナーを15件開き、105人が参加している。視覚障がいメイクセミナーとタッチマークシールは2019年、内閣府のバリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰で内閣府特命担当大臣奨励賞を受けた。
メイクや身だしなみは、就労や外出のために障がいのある人へ一律に課すべきものではない。人権上の核心は、化粧をするかしないか、どのような外見を選ぶかを本人が決め、その選択を自分で実行できることにある。障害者権利条約は、個人の自律と選択の自由、社会への完全かつ効果的な参加、製品やサービスへのアクセスを基本原則としている。道具や説明方法を使いやすく変えることは、本人の能力不足を補うというより、利用を妨げる環境側の障壁を減らす対応と捉えられる。
網膜色素変性症などで徐々に視力が低下した人は、それまで続けていた外出や装いを諦める場合がある。今回の講座では、JRPS兵庫が参加者の経験や要望を把握し、ファンケルが触覚を用いる技術と製品識別の工夫を提供した。当事者団体と企業が共同で内容を組み立て、7人それぞれの「なりたい自分」を起点にしたことが、神戸市内で行われた初共催の具体的な成果となった。
株式会社ファンケル「視覚障がいのある方の“オシャレをあきらめない”を支えるメイクセミナーを『兵庫県網膜色素変性症協会』と初共催」
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001556.000017666.html
株式会社ファンケル「ファンケルセミナー」
URL:https://www.fancl.jp/sustainable/society/education/fanclseminar/index.html
株式会社ファンケル「2024年度 社会貢献活動『ファンケルセミナー』活動実績」
URL:https://www.fancl.jp/sustainable/society/education/activity_2024.html
外務省「障害者の権利に関する条約」
URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000899.html

