1.アムネスティ・インターナショナル日本は9月3日、在日米軍基地による人権影響の見直しを日本政府に要請した。
2.性暴力・犯罪、PFAS等の環境問題、情報へのアクセス、被害者の司法へのアクセスを複合的に取り上げた。
3.日米間では1995年の刑事手続運用改善や2015年の環境補足協定も存在し、現行制度の到達点と限界を分けて検証する必要がある。

アムネスティ・インターナショナル日本は2026年9月3日、日本政府に対し、在日米軍基地が周辺住民に及ぼす人権上の影響について制度を見直すよう要請した。同団体は、米軍専用施設が集中する沖縄県を中心に、米軍関係者による性暴力・犯罪、PFASなどの環境問題、基地内調査や情報へのアクセス、被害者の司法へのアクセスを課題として挙げている。
刑事事件をめぐる制度は過去にも変更されている。1995年の沖縄での少女暴行事件を受け、日米合同委員会は、殺人や強姦など日本側が重大な関心を持つ事件について、起訴前に米側へ身柄引渡しを要請できる運用改善を行った。外務省によると、その後この合意に基づく起訴前の拘禁移転要請が6件行われ、5件で起訴前の引渡しが実現したとしている。
環境分野では2015年、日米地位協定を補足する環境補足協定が署名された。環境事故が発生した場合や施設返還時の現地調査について、日本側当局が米軍施設・区域へ立ち入る手続を定めた。2020年4月に普天間飛行場でPFOSを含む泡消火剤が流出した際には、外務省、防衛省、環境省、沖縄県、宜野湾市の関係者が同協定第4条に基づいて基地内へ入り、水のサンプリングなどを行った。
つまり、刑事・環境分野とも制度が全く存在しないわけではない。アムネスティの要請を検討する際には、「地位協定があるからすべて救済できない」「運用改善があるから問題は解決した」という二つの単純化を避ける必要がある。個々の事件で起訴前の身柄確保、基地内調査、情報公開、被害者支援が実際にどこまで機能したのかを検証し、現行制度で埋められない部分がどこにあるのかを特定することが、米軍基地と住民の人権をめぐる議論の前提となる。
アムネスティ・インターナショナル日本
URL: https://www.amnesty.or.jp/news/2026/0903_11078.html
外務省「日米地位協定Q&A」
URL: https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/qa.html
外務省「環境に関する改善の措置」
URL: https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/rem_02.html
外務省「普天間飛行場への環境補足協定に基づく立入り」
URL: https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008419.html

