アンコンシャスバイアスはなぜ人権問題になる? 大垣市が10月に4会場で無料講座

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この記事のポイント

① 大垣市教育委員会は2026年10月、市内4会場で「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」をテーマに無料の人権講座を開く。
② アンコンシャスバイアスは、本人が自覚していない思い込みや先入観を指す。思い込みそのものと差別行為は同じではないが、採用や評価などに影響すると不利益につながり得る。
③ 内閣府も性別によるアンコンシャスバイアスを調査しており、個人の心の問題にとどめず、職場や組織の意思決定の仕組みまで見直すことが重要となる。

大垣市の令和8年度「人権心のふれあい講座」
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1.大垣市が10月に4回開催

岐阜県大垣市教育委員会は2026年10月、市内4会場で「人権心のふれあい講座」を開催します。

今年度のテーマは、

「人権を大切にする第一歩は『知る』ことから始まります。~心に潜む無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)について考える~」

です。

10月5日、15日、21日、30日の計4回開催され、講師は前岐阜県人権啓発センター人権啓発指導員の佐野篤氏です。

受講料は無料です。

2.アンコンシャスバイアスとは何か

「アンコンシャスバイアス」は一般に、

無意識の偏見、

無意識の思い込み、

などと訳されます。

人はこれまでの経験、社会環境、文化、習慣などをもとに、物事を瞬間的に判断します。

例えば、

「この仕事は男性の方が向いている」

「小さい子どもがいる女性は重要な仕事を任せにくい」

「年齢が高い人はデジタル機器が苦手だろう」

など、本人が十分な根拠を確認しないまま相手を一定のイメージに当てはめることがあります。

3.「思い込みを持つ」=差別ではない

ここは慎重に整理する必要があります。

人間が先入観や思い込みを一切持たないようにすることは現実的ではありません。

また、無意識の思い込みが頭に浮かんだだけで、直ちに人権侵害や差別行為になるわけでもありません。

問題になるのは、その思い込みが、

採用、

昇進、

人事評価、

学校での進路指導、

家庭内の役割分担、

地域活動

などの具体的な意思決定に影響し、特定の属性を持つ人に継続的な不利益を与える場合です。

4.内閣府も「性別による思い込み」を調査

内閣府男女共同参画局は、「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」について全国調査を行っています。

そこでは、

性別役割分担、

仕事、

家庭、

進路選択

などに関連するさまざまな意識が調査されています。

内閣府は、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みが、男女共同参画が十分に進まない一因になっていると説明しています。

5.ただし心理学の「implicit bias」と完全に同義とは限らない

少し専門的ですが、ここも重要です。

心理学では「implicit bias(潜在的バイアス)」について、実験や認知心理学の枠組みを用いた研究があります。

一方、行政啓発で「アンコンシャスバイアス」と呼ばれているものには、固定観念や役割意識など幅広い概念が含まれています。

したがって、

「科学的な心理テストで本人に偏見があることが証明された」

という意味で行政のアンケート結果を扱うのは適切ではありません。

アンコンシャスバイアスは、人の内心を断罪する言葉ではなく、自分の判断にどのような前提や固定観念が入り込んでいるかを振り返るための概念として理解した方がよいでしょう。

6.大垣市自身も職員の意識調査

大垣市では男女共同参画や働き方改革に関連して、職員を対象としたアンコンシャスバイアスに関する取組も進めています。

市の「女性に選ばれるまちづくり」に関する取組では、職員アンケートや研修などを通じ、職場での意識や働き方を点検しています。

つまり今回の人権講座は、単なる言葉の紹介だけではなく、自治体の職場や地域社会を含めた意識改革の流れの中で見ることもできます。

7.「気づく」だけでは十分ではない

アンコンシャスバイアス研修は、

「自分にも思い込みがあると気づきましょう」

だけで終わると、実際の不利益を減らす効果は限定的です。

例えば採用であれば、

評価基準をあらかじめ明確にする。

複数人で評価する。

職務に直接関係しない情報で判断しない。

人事評価であれば、

評価理由を記録する。

評価結果を検証する。

昇進機会が特定の属性へ偏っていないか確認する。

といった仕組みと組み合わせる必要があります。

8.人権問題として考える意味

人権問題の中には、明確な悪意から生じる差別があります。

一方で、

「悪気はなかった」

「昔からそうしている」

「普通はそうだと思っていた」

という判断が、結果として特定の人を排除することもあります。

アンコンシャスバイアスという考え方の意味は、すべての人に「偏見がある」と断罪することではありません。

自分たちが当然だと思っている判断基準そのものを、一度点検してみることにあります。

大垣市の講座は、人権を「誰か特別な人の問題」ではなく、日常生活や職場、家庭の意思決定の中にある問題として考える機会になりそうです。

関連用語

アンコンシャスバイアス
本人が自覚していない固定観念、先入観、思い込みなどを指す言葉。

固定的性別役割分担意識
「男性は仕事、女性は家庭」など、性別によって社会的役割を固定して考える意識。

男女共同参画
男女が社会の対等な構成員として、意思決定や社会活動へ参画できる社会を目指す考え方。

構造的差別
個人の明確な差別意図がなくても、制度や慣習、組織の仕組みなどによって特定の集団に不利益が継続する状態。

出典

大垣市「令和8年度『人権心のふれあい講座』を開催します」
https://www.city.ogaki.lg.jp/0000070928.html

内閣府男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/seibetsu_r04.html

内閣府男女共同参画局「今週の男女共同参画に関するデータ」
https://www.gender.go.jp/research/weekly_data/

大垣市「女性に選ばれるまちづくり」
https://www.city.ogaki.lg.jp/0000070447.html

大垣市「人権・男女共同参画推進室」
https://www.city.ogaki.lg.jp/soshiki/3-5-0-0-0_8.html

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人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、裁判所、企業、公益団体、国際機関などが公表する一次情報を確認し、差別、子ども、障害者、高齢者、教育、福祉、司法・制度、外国人、ビジネスと人権などに関するニュース、制度解説、独自調査を発信しています。記事では出典を明示し、事実関係を確認したうえで、関連する法制度や統計、過去の経緯などを参照しながら、人権上の論点や社会的背景を整理しています。

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