三重県、外国人向け日本語講座 空白地域をオンライン支援

この記事のポイント

1.三重県が、県内に住む16歳以上の外国人住民を対象に、無料のオンデマンド日本語学習講座を実施する
2.初級から上級、生活・仕事・日本語能力試験まで学べ、就労や子育てで地域の教室に通いにくい人を優先する場合がある
3.県内の外国人住民は7万1,492人に増えており、オンライン学習を地域日本語教室や多言語情報提供と組み合わせる体制が課題となる

三重県のイメージ図

三重県は2026年7月31日、県内の外国人住民を対象とする「三重県オンデマンド日本語学習講座」の受講者募集を始めた。学習期間は同年9月1日から2027年2月28日までで、定員は50人程度。対象は三重県内に住む16歳以上で、日本語の学習を希望し、インターネットに接続できるスマートフォン、タブレット、パソコンのいずれかを使用できる人となる。受講料は無料だが、通信費は本人が負担する。

教材は初級から上級まで用意され、買い物や交通、行政手続など生活で使う日本語、職場での会話、日本語能力試験(JLPT)に対応した内容を学べる。日本語のほか、英語、ベトナム語、ポルトガル語、フィリピノ語、中国語、インドネシア語などによる解説にも対応する。受講者は時間と場所を選んで教材を進められ、学習期間中には1回45分程度のオンライン講座も月1回ほど開かれる。オンライン講座への参加は任意とした。

申込みが定員を上回った場合、三重県は、地域日本語教室がない市町に住む人や、就労、子育てなどの事情で教室への参加が難しい人を優先する場合がある。申込ページは日本語、英語、ベトナム語、ポルトガル語、フィリピノ語、中国語、インドネシア語に対応し、中国語は簡体字と繁体字のページが設けられた。受講の可否や学習開始に必要な手続は、登録したメールアドレスへ通知される。講座は三重県環境生活部ダイバーシティ社会推進課が実施し、申込みや教材に関する業務をアテイン株式会社が担う。

県内の外国人住民は2025年12月末に7万1,492人となり、前年から4,601人、6.9%増加した。県人口に占める割合は4.14%で、国籍・地域は115に及ぶ。国籍・地域別ではベトナムが1万5,254人で最も多く、ブラジル1万3,198人、フィリピン8,890人、中国6,591人、インドネシア5,521人と続く。市町別では四日市市が1万3,903人、津市が1万1,592人、鈴鹿市が1万641人となる一方、人口に占める外国人住民の割合は木曽岬町で13.28%に達した。外国人住民の居住地域と使用言語が広がる中、対面の日本語教室だけでは学習機会を県内全域に均等に設けにくい事情がある。

三重県は2024年度から2026年度までの「三重県多文化共生推進計画」に、日本語教育の施策を組み込んでいる。同計画は、日本語の習得を希望する外国人住民が学習機会を得られるよう、市町、国際交流協会、日本語教室、外国人支援団体、雇用企業と連携する方針を示した。日本語教室がない地域では複数市町による共同実施を検討し、移動距離、勤務時間、子育てなどによって教室へ通えない人には、県全域を対象とするオンライン教室を実施するとしている。今回の講座は、この方針をオンデマンド形式へ広げた事業といえる。

日本語教育の推進に関する法律は、地方公共団体に対し、地域の状況に応じた日本語教育施策を策定し、実施する責務を定めている。日本語の理解は、医療機関で症状を説明すること、災害情報を把握すること、労働条件を確認すること、学校や行政からの通知を読むことなど、生活上の選択や権利行使に関係する。ただし、「外国人住民が日本語を学べば情報格差が解消する」とは限らない。行政、医療機関、学校、雇用事業者には、多言語対応や、分かりやすい日本語による情報提供を続ける役割がある。

オンデマンド学習は、教室の開講時間や場所に左右されにくい反面、通信環境と端末を持ち、自分で学習を進められることを受講条件とする。通信費の負担が難しい人、端末操作に不慣れな人、対話しながら学ぶ必要がある人には利用上の障壁が残る。地域日本語教室には、言語を学ぶだけでなく、生活情報を得る場、日本人住民と交流する場、災害時に情報を伝える地域の接点という機能もある。三重県ダイバーシティ社会推進課は、アテイン株式会社によるオンデマンド教材と月1回程度のオンライン講座を運用し、地域日本語教室へ通いにくい外国人住民50人程度の学習機会を2027年2月まで確保する。

出典

三重県「外国人住民を対象とした三重県オンデマンド日本語学習講座の受講者を募集します」
URL:https://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0011500567.htm

三重県「三重県多文化共生推進計画」
URL:https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/001128067.pdf

三重県「外国人住民国籍・地域別人口調査(令和7年12月31日現在)の結果」
URL:https://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0011500550.htm

文化庁「日本語教育の推進に関する法律の施行について(通知)」
URL:https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/other/suishin_houritsu/1418260.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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