能登地震、関連死513人 直接死228人の2倍超

この記事のポイント

1.石川県では2026年8月31日時点で、能登半島地震の災害関連死が513人となり、直接死228人の2倍を超えた。
2.内閣府の事例集では、認定された286人の82%が80歳以上、94%に何らかの既往症等が確認された。
3.災害関連死を減らすには、避難所だけでなく、病院、介護施設、在宅避難、転院・転所を含めた医療・福祉の継続が必要となる。

災害時の支援とケアの輪

石川県は2026年8月31日、令和6年能登半島地震による災害関連死を新たに5人認定したと公表した。これにより、県内の死者741人のうち、建物倒壊などによる直接死は228人、災害関連死は513人となった。関連死は直接死の約2.25倍に達する。発災時の倒壊や津波から生き延びても、その後の避難生活、医療・介護環境の悪化、移動による身体的負担などを経て命を失う人が、直接死を大きく上回っている。

災害関連死とは、災害による負傷の悪化や避難生活等の身体的負担による疾病で死亡し、災害弔慰金法に基づいて災害との因果関係が認められた死亡を指す。内閣府が2026年1月にまとめた能登半島地震の事例集では、審査対象408件のうち286件が認定され、122件は認定されなかった。認定された286人では80歳以上が234人、81.8%を占め、270人、94.4%に既往症等があった。発災から3か月以内の死亡は188人、65.7%だった。高齢や持病だけで災害関連死になるわけではないが、平時から医療や介護を必要とする人ほど、生活環境の急変による影響を受けやすい構造が表れている。

死亡直前の生活環境も避難所だけではない。同事例集では病院が98人、介護施設等が84人、自宅等が38人、避難所が32人だった。死亡までの経緯には、断水、停電、避難場所の移動、病院の被災に伴う転院、介護施設からの転所、感染症、食欲不振、低温環境などが記録されている。内閣府は、これらの記載頻度がそのまま死因への寄与度を示すものではないと注意を付している。それでも、災害関連死防止を「避難所を改善する問題」だけに限定できないことは明確である。病院や介護施設の機能維持、在宅療養者への物資・医療提供、安全な広域避難まで連続して考える必要がある。

災害関連死の認定は、市町村が災害弔慰金等認定審査会などを通じて個別に判断する。災害弔慰金は、災害により死亡した人の遺族に対し、市町村条例に基づき、生計維持者の場合は500万円以下、それ以外は250万円以下を支給する制度である。したがって認定は、死亡者数を統計上分類するだけの手続ではない。死亡と災害との相当因果関係について、診療記録、避難経過、生活環境などを後から確認する必要があり、内閣府が認定例と不認定例の双方を公表したのも、市町村間の判断の参考とするためである。

能登半島地震を受け、2025年7月施行の改正災害救助法では、救助の種類に「福祉サービスの提供」が加えられ、災害対策基本法にも福祉サービスの提供が明記された。国は2026年版防災白書でも、直接死を免れた被災者を災害関連死から守るには、発災直後から保健・医療・福祉の提供体制を確立し、避難場所によって支援の濃淡が生じない災害ケースマネジメントが必要だと整理している。513人という数字を弔慰金認定後の統計として終わらせず、どの時点で医療、介護、食事、暖房、見守りが途切れたのかを次の防災計画に反映できるかが、石川県と国の災害関連死対策を測る基準となる。

出典

石川県「市町における災害関連死の認定について(令和8年8月31日)」
URL: https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kisya/r8/documents/0831_14_bousaitaisaku.pdf

内閣府「令和6年能登半島地震において災害関連死として認定された事例及び認定されなかった事例」
URL: https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/jirei_r8.pdf

内閣府「災害関連死事例集」
URL: https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/kanrenshijirei.html

内閣府「災害弔慰金等の支給に関する審査会」
URL: https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/saigaishinsakai.html

内閣府「災害対策基本法等の一部を改正する法律(令和7年法律第51号)」
URL: https://www.bousai.go.jp/taisaku/kihonhou/kihonhou_r7_01.html

内閣府「令和8年版防災白書 災害対応力の強化」
URL: https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r08/honbun/t1_3s_02_04.html

人権ニュース編集部

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