飯塚市人権フェス、ハンセン病隔離政策の歴史を「語りと歌」で

この記事のポイント

1.第54回飯塚市部落解放研究集会が10月10日、ハンセン病問題を主題に開催
2.竪山勲さん、岡田秀子さんが出演し、隔離政策と差別の歴史を市民啓発につなぐ
3.1996年の「らい予防法」廃止、2001年熊本地裁判決後も続く名誉回復と差別防止が背景

飯塚市部落解放研究集会~人権フェスティバル~

飯塚市は2026年10月10日、イイヅカコスモスコモン大ホールで「第54回飯塚市部落解放研究集会~人権フェスティバル~」を開く。今回の主題はハンセン病問題で、ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会会長の竪山勲さんと、「左手のピアニスト」として活動する岡田秀子さんが「いのちを歌う~ハンセン病を生きて~」を題に出演する。開場は12時30分、開会13時、閉会15時40分。飯塚コスモスコモン少年少女合唱団も特別出演する。

ハンセン病問題を感染症の知識だけで理解すると、問題の核心を見落とす。日本では患者を療養所へ隔離する政策が長く続き、1953年制定の「らい予防法」の下でも隔離政策が継続された。同法は1996年に廃止された。2001年5月11日の熊本地方裁判所判決は国の責任を認め、政府は控訴しなかった。国と原告団との基本合意でも、長年の隔離政策とらい予防法が患者の人権を著しく侵害し、偏見・差別を助長したことについて国が謝罪している。

2009年には「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が施行され、療養所入所者等の福祉増進や名誉回復などを進める枠組みが設けられた。しかし、法律の廃止や補償によって偏見が自動的に解消するわけではない。隔離政策は患者本人の生活だけでなく、家族関係、就学、就労、地域との関係にも影響を与えた。2019年のハンセン病家族国家賠償訴訟判決後も政府は控訴せず、患者本人だけでなく家族が受けた差別も政策上の課題として扱われてきた。

飯塚市の研究集会は「部落解放研究集会」の名称を持ち、部落差別問題をはじめ様々な人権課題への認識を深めることを開催目的としている。今回、ハンセン病問題を扱う場合、異なる差別を単純に同一視するのではなく、制度や行政施策が社会の偏見と結び付いた過程をそれぞれの歴史に即して理解することが必要になる。会場では市内小・中学校による人権ポスターと人権標語も展示され、成人向けの講演と学校教育を接続する構成となっている。

会場には手話通訳が用意され、託児は10月2日17時までの事前申込制となる。情報保障と子育て中の参加者への対応は、啓発事業に誰が参加できるかにも関わる。第54回を迎える飯塚市部落解放研究集会では、竪山勲さんの当事者としての経験を通じ、1996年の法廃止で終わらなかったハンセン病問題を現在の差別防止へどう結び付けるかが、企画の中心となる。

出典

飯塚市「第54回飯塚市部落解放研究集会~人権フェスティバル~」
URL: https://www.city.iizuka.lg.jp/site/jinken/1169.html

厚生労働省「ハンセン病に関する主な出来事」
URL: 厚生労働省・ハンセン病に関する主な出来事

厚生労働省「基本合意書」
URL: https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/hansen/hourei/5.html

厚生労働省「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律等の施行について」
URL: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb5434&dataType=1&pageNo=1

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、裁判所、企業、公益団体、国際機関などが公表する一次情報を確認し、差別、子ども、障害者、高齢者、教育、福祉、司法・制度、外国人、ビジネスと人権などに関するニュース、制度解説、独自調査を発信しています。記事では出典を明示し、事実関係を確認したうえで、関連する法制度や統計、過去の経緯などを参照しながら、人権上の論点や社会的背景を整理しています。

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