1.栃木県の2025年度児童虐待相談対応は4,466件、前年度比7.9%増で過去最多
2.児童相談所分では心理的虐待が54.0%、警察等からの通告が44.3%を占める
3.2015年度1,661件から約2.7倍となり、件数だけでなく通告後の支援体制の検証が課題

栃木県が2026年8月27日に公表した2025年度の児童虐待相談対応件数は、児童相談所2,032件、市町2,434件の計4,466件となり、過去最多を更新した。前年度の4,140件から326件、7.9%増え、児童相談所、市町の双方で最多となった。2015年度は計1,661件だったため、10年間で約2.7倍に増えた計算になる。
児童相談所が扱った2,032件を虐待種別で見ると、心理的虐待が1,097件、54.0%と最も多い。身体的虐待は491件、24.2%、ネグレクトは412件、20.3%、性的虐待は32件、1.6%だった。年齢別では小学生が736件、36.2%で最多。3歳から就学前が361件、17.8%、中学生が355件、17.5%、0歳から3歳未満が329件、16.2%だった。乳幼児から高校生等まで、幅広い年齢層で相談対応が生じている。
相談経路にも特徴がある。警察等からの通告が900件、44.3%を占め、近隣・知人401件、家族・親戚282件、学校等126件、医療機関75件を上回った。こども家庭庁は、子どもの目の前で家族に暴力を振るう「面前DV」を心理的虐待の例として明示している。このため、警察が家庭内暴力を把握した際の通告も心理的虐待の相談件数に含まれ得る。相談対応件数の増加は深刻な指標だが、行政が把握・対応した件数であり、虐待の発生そのものが同じ割合で増えたと直ちに結論づけることはできない。
主な虐待者は実母1,049件、51.6%、実父797件、39.2%だった。この数字を、そのまま母親個人の資質の問題に読み替えることはできない。子どもの安全確保を前提に、家庭の養育状況や支援との接点を確認し、再発防止につなげる必要がある。統計を見る際にも、「誰が多いか」だけでなく、学校、医療機関、警察、自治体がどの段階で家庭と接触できたのかを組み合わせて読む方が、支援体制の課題を把握しやすい。
4,466件という過去最多の数字から次に確認すべきなのは、通告後の安全確認、児童相談所と市町の役割分担、学校・医療機関との連携、継続支援の状況である。児童相談所虐待対応ダイヤル「189」は、虐待かどうか確信がない場合も含め、児童相談所への相談・通告につなぐ全国共通番号となっている。栃木県こども政策課が公表した10年分の推移は、件数そのものに加え、早期把握とその後の支援が機能しているかを継続して確認する基礎資料となる。
栃木県「令和7(2025)年度児童虐待相談対応件数について」
URL: https://www.pref.tochigi.lg.jp/e06/houdou/houdou/r7gyakutaisoudankensuu.html
栃木県「令和7(2025)年度児童虐待相談対応件数について(概要)」
URL: https://www.pref.tochigi.lg.jp/e06/houdou/houdou/documents/20260818105639.pdf
こども家庭庁「児童虐待防止対策」
URL: https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai
