沖縄市、保育職員の虐待通報義務を周知 「疑い」から行政確認へ

この記事のポイント

1.沖縄市が保育所などの職員による児童虐待について、2025年10月から始まった通報義務を周知している
2.対象は保育所、認定こども園、小規模保育、認可外保育施設など幅広く、身体的・性的・ネグレクト・心理的虐待を含む
3.通報者が虐待を立証してから届け出る制度ではなく、「虐待を受けたと思われる」段階で行政が事実確認に入る仕組みへ変わった

こどもの人権を守ろう

沖縄市は、保育所や認定こども園などの職員による虐待について、児童福祉法に基づく通報制度を市ホームページで周知している。2025年10月1日の改正児童福祉法施行により、保育所等の職員から虐待を受けたと思われる児童を発見した人には、速やかに自治体などへ通報する義務が課された。沖縄市では、保育所、幼稚園、認定こども園、小規模保育、事業所内保育、一時預かり、病児保育、乳児等通園支援事業、認可外保育施設などを対象としている。

対象となる行為は身体的虐待だけではない。性的虐待、ネグレクト、心理的虐待も含まれる。市が通報を受けた場合は、通報者や事案の概要を確認し、施設への事実確認を行い、必要に応じて庁内関係部署、関係機関、沖縄県と情報を共有する。通報したことを理由とする解雇や配置転換などの不利益な取扱いも児童福祉法で禁止され、市は通報者を特定する情報を保護するとしている。

制度改正で重要なのは、通報者自身が「これは虐待だ」と最終判断する仕組みではないことである。こども家庭庁は、虐待を受けたと「思われる」子どもを発見した場合に通報し、都道府県や市町村が事実確認と子どもの安全確認を行う制度として説明している。現場の保護者や職員に証拠収集や法的評価まで負わせるのではなく、疑いの段階で行政へ情報を渡し、行政側が調査する構造を採る。

この仕組みが必要になった背景には、保育施設で不適切な保育事案が問題となる一方、従来は児童養護施設などの職員による虐待と異なり、保育所等について統一的な通報・調査制度が十分整っていなかった事情がある。改正後は、施設内で問題を処理して終えるのではなく、自治体が子どもの安全確認に関与する制度となった。施設運営者にとっても、虐待を起こさないための研修やセルフチェックと、発生が疑われた場合の外部通報は別々に備える必要がある。

沖縄市は虐待防止と保育の質向上のため、教育・保育施設向けのセルフチェックリストも公開している。ただし、内部点検を行っていることを理由に通報が不要になるものではない。保育現場の自己点検と、第三者を含む通報を起点とした行政の事実確認という二重の仕組みを持つことが、2025年10月の法改正後の大きな変化である。保育する側の処分だけでなく、子どもの安全確保を起点として制度を見る必要がある。

出典

沖縄市「保育所等の職員による虐待に関する通報義務について」
URL:https://www.city.okinawa.okinawa.jp/k027/contents/p00036.html

こども家庭庁「保育所等における虐待防止及び発生時の対応等について」
URL:https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/hoiku-gyakutaiboushi

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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